スタッフブログ
2025.08.11
大型犬と暮らすことは、そのたくましさや優しさに日々癒やされ、心強いパートナーとしての絆を育むかけがえのない時間です。
一方で、その大きな体ゆえに、骨や関節にかかる負担も大きく、整形外科的なトラブルが起こりやすいという側面もあります。
「歩き方がおかしい」「散歩に行きたがらない」「座り方が左右で違う」
こうした些細な変化が、実は整形外科疾患のサインであることも少なくありません。
そこで今回は、京都市左京区の動物病院で大型犬の診療に多く携わる獣医師の視点から、大型犬に特に多く見られる整形外科疾患TOP5と、その症状や特徴についてわかりやすく解説いたします。
■目次
1.大型犬の整形外科疾患の特徴
2.大型犬に多い整形外科疾患TOP5
3.症状に気づいたときの対処法
4.整形外科疾患の予防とご自宅でできるケアのポイント
5.まとめ
大型犬は、しっかりとした体つきの一方で、関節や骨に大きな負担がかかりやすい体の構造をしています。
そのため、成長期の発育や日常の運動量によって、整形外科的なトラブルが起こりやすい傾向があります。
特に以下のような要因が、整形外科疾患の発症に関わっていると考えられます。
・体重による関節や骨への過負荷
・遺伝的な要素(特定犬種に多い傾向)
・成長期における栄養バランスの不均衡
・激しい運動や、段差の上り下り・ジャンプなどの刺激
これらの要因が積み重なることで、慢性的な関節のダメージや歩行機能の低下につながるリスクがあります。
股関節の形がうまくかみ合わず、関節が不安定になる先天性の疾患です。
後ろ足の動きがぎこちない、立ち上がるのに時間がかかる、階段の上り下りを嫌がる、といった症状が見られます。
前足(特に肘の部分)で骨の発育に異常があり、関節に炎症や摩耗が起こる疾患です。
前足をかばうような歩き方をする、運動後に足を引きずる(跛行)、肘を触られるのを嫌がるなどの様子が見られます。
膝関節の中にある靱帯が切れてしまうことで、関節が不安定になり、強い痛みを伴う疾患です。
ジャンプや急な方向転換をきっかけに発症することが多く、中高齢の大型犬によく見られます。
大型犬で発症が比較的多い骨の悪性腫瘍です。特に前足の骨にできるケースが多く、進行が早いことが特徴です。
初期症状としては、足を痛がる、特定の部位が腫れてくる、歩き方に異変が出る、といった様子が見られます。
特に急激に成長する子犬期の大型犬に多く見られる、骨に炎症が起きる病気です。
足の腫れや痛み、元気がない、発熱などの症状が出ることがあります。
大型犬に整形外科的な異常が見られた際に、まず大切なのは「無理をさせないこと」「無理に動かさないこと」そして「落ち着いて安静にさせること」です。
歩き方がおかしい、片足を浮かせたままにしている、立ち上がるのを嫌がる、といった行動が見られた場合、痛みを我慢している可能性があります。
応急処置としては、まず患部を無理に触らず、安静を保つことが基本です。歩かせるのは避け、可能であればケージやサークル内で静かに休ませましょう。
また、腫れや熱を感じる場合には、冷却を行うことで炎症を一時的に和らげることが期待できます。保冷剤や氷のうをタオルで包み、痛がる様子がないか確認しながら、やさしく患部に当てるようにしましょう。
ただし、冷やすのはあくまで応急処置のひとつであり、根本的な解決にはなりません。
必ず、早めに動物病院での診察を受けるようにしましょう。
以下のような症状が見られる場合は、整形外科的な異常が進行している可能性があります。
・後ろ足を突然引きずる、またはまったく動かさない
・触られると激しく鳴いたり、怒ったりする
・自力で立ち上がれない、歩けない
・食欲が落ちている、ぐったりしている
整形外科疾患は、早期に診断と治療を行うことで、重症化や慢性化を防ぐことができます。
「少し様子を見ようかな」と思わず、「いつもと違うかも」と感じたら、早めにご相談いただくことが愛犬の回復への近道です。
大型犬はその体格ゆえに、骨や関節への負担がかかりやすく、整形外科的なトラブルを起こしやすい傾向があります。
しかし、日々の生活の中で少し意識を変えるだけでも、そのリスクをぐっと減らすことができます。
ここでは、大型犬の飼い主様にぜひ知っていただきたい、整形外科疾患を予防するための基本的なケアポイントをご紹介します。
◆体重管理を意識する
肥満は関節への大きな負担となり、関節炎や靭帯損傷のリスクを高めます。
毎日の食事内容を見直し、おやつの量にも気をつけながら、バランスのとれた食生活を心がけましょう。
また、定期的に体重を測定し、理想体重を維持できているかをチェックすることも大切です。
もし目安を超えるような増加が見られた場合は、早めに獣医師に相談し、無理のない体重管理を進めていきましょう。
◆滑りにくい環境を整える(床の対策)
フローリングなどの表面では、足を滑らせやすく、関節や筋肉に余計なストレスがかかります。
滑り止めマットやカーペットを敷いてあげると、転倒や踏ん張りによるケガの予防につながります。
特に高齢の犬や手術後・リハビリ中では、こうした対策がとても効果的です。
◆運動の内容と量を見直す
若く元気な大型犬ほどジャンプや急な動きをしがちですが、これが関節に負担をかけてしまうこともあります。
遊びの内容や時間を調整しながら、無理のない範囲で体を動かすようにしましょう。
◆定期的な健康チェックを行う
関節や骨の異常は、見た目ではわかりにくいことも多く、痛みをじっと我慢している子も少なくありません。
年に1〜2回は健康診断を受けて、骨や関節の状態をしっかりチェックしてもらいましょう。
このように、日常のちょっとした気づきや心がけが、整形外科疾患の予防につながります。
毎日の暮らしの中でできることから少しずつ取り入れて、愛犬が元気に過ごせる環境を整えてあげましょう。
大型犬はしっかりとした体格ゆえに、関節や骨にかかる負担も大きく、整形外科的なトラブルが起こりやすい傾向があります。
股関節・膝・肘などの不調は、日常の動きや快適な生活に直結する問題であり、早めの気づきとケアがとても大切です。
もし「歩き方がいつもと違うかも?」「立ち上がるのに時間がかかるな」と感じたら、それは愛犬からの小さなサインかもしれません。
違和感を覚えた段階でご相談いただくことで、重症化や慢性化を防げるケースも多くあります。
大型犬との暮らしは、その存在感や優しさ、力強さゆえに、かけがえのない喜びにあふれています。
その大切な日々をできるだけ長く、快適に過ごせるように、整形外科の視点からも、私たちがしっかりとサポートしてまいります。
京都市左京区 北山駅から徒歩5分、松ヶ崎徒歩7分 京都北山動物病院
℡:075-744-6188