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2025.08.26
猫は、しなやかな体と優れた運動能力を持つ生き物です。
キャットタワーを軽やかに駆け上がったり、高いところからも音もなくふわりと着地したりする姿に、思わず見とれてしまう飼い主様も多いのではないでしょうか。
その一方で、猫特有の骨格の構造や生活スタイルの影響で、実は整形外科のトラブルを起こしやすい一面もあります。
特に室内で過ごす時間が長い現代の猫たちは、思わぬケガや関節の不調を抱えることも少なくありません。
そこで今回は、猫に多く見られる整形外科疾患を5つ厳選してご紹介します。
あわせて、症状に早く気づくためのヒントや、日常生活で気をつけたいポイントについても詳しく解説していきます。
■目次
1.猫の整形外科疾患の特徴
2.猫に多い整形外科疾患TOP5
3.症状に気づいたときの対処法
4.予防とケアのポイント
5.まとめ
猫の骨格は柔軟性に優れているため、高い場所へのジャンプや狭いところでの身のこなしがとても得意です。
しかし関節の可動域が広い分、脱臼などの関節トラブルが起こりやすく、運動中にかかる衝撃をうまく吸収できないと、骨折や靭帯の損傷につながることもあります。
また、完全室内飼育の猫でも安心とは限りません。
キャットタワーや家具からの落下、勢い余ったジャンプの着地失敗などにより、思いがけないケガをすることもあります。
さらに猫は「痛みを隠す動物」とも言われています。
そのため、足をかばって歩く、動きが鈍くなる、いつもより静かに過ごしているなど、ほんのわずかな変化が整形外科疾患のサインであることも少なくありません。
加齢や過去のケガ、過度な運動などが原因で、関節の軟骨がすり減り、炎症を起こす病気です。
高い場所に登らなくなる、ジャンプをためらう、抱っこを嫌がるなど、行動の変化が最初のサインになることが多く見られます。
進行すると、歩き方がぎこちなくなるなど、動き全体に異常が現れることもあります。
意外に思われるかもしれませんが、室内飼育の猫でも骨折は少なくありません。
キャットタワーや棚から飛び降りた際の着地失敗や、家具に足を挟んでしまうといった場面で起こることがあります。
足を地面に着けずに浮かせていたり、足が腫れていたり変形していたりする場合は要注意です。
激しい運動や衝突、転倒などがきっかけで、関節が正常な位置から外れてしまう状態です。
股関節や肘関節でよく見られます。
歩き方が不自然になる、足を引きずる、関節の形が左右で異なって見える、といった変化が現れます。
完全に脱臼している場合は、早急な整復処置が必要です。
膝関節の安定を保つ前十字靭帯が損傷し、関節が不安定になることで歩行障害が生じます。ジャンプや急な動きのあとに発症することがあります。
足を地面に着けなくなる、階段の上り下りを嫌がる、走り方がおかしい、こうした行動の変化が見られた場合には注意が必要です。
背骨と背骨の間にあるクッションの役割をする椎間板が変性し、神経を圧迫することで痛みや運動障害が現れる病気で、中高齢の猫に多く見られます。
背中を丸めた姿勢が続く、撫でられるのを嫌がる、ふらつくような歩き方をするなど、ささいな変化が症状の始まりであることがあります。
猫は痛みを隠す習性があるため、自分から「痛い」と訴えることはほとんどありません。
そのため、「なんとなく元気がない」「動き方がいつもと違う」と感じたときには、すでに症状が進んでいる可能性もあります。
足をかばって歩いている、動きが鈍くなった、ジャンプをしなくなったといった変化が見られたら、まずは無理に動かしたり抱き上げたりせず、落ち着いた環境で安静にさせることが大切です。
また、患部が明らかに腫れている場合や熱を持っているように感じられる場合には、タオルにくるんだ保冷剤などでやさしく冷やすことで、痛みや炎症をやわらげられることもあります。
ただし、猫にとって冷却がストレスになることもあるため、嫌がる場合はすぐに中止しましょう。
以下のような症状が見られるときは、できるだけ早めに動物病院を受診することをおすすめします。
・足がまったく地面に着けない
・触ると強く鳴いたり、怒ったりする
・背中や関節周りに触られるのを極端に嫌がる
・歩き方が明らかにおかしい、ふらついている
・動きが鈍く、ほとんど寝てばかりいる
整形外科的なトラブルは、猫の年齢や体質だけでなく、日常の生活環境や習慣のちょっとした見直しによってリスクを減らせることもあります。
以下のようなポイントを意識して、愛猫が安心して過ごせる環境を整えてあげましょう。
◆室内環境の安全管理
キャットタワーや家具の配置には十分に注意し、滑りやすい床にはマットを敷くなどして、着地時の衝撃をやわらげましょう。
また、高い場所には転落防止の工夫をすることで、落下による骨折や脱臼の予防にもつながります。
◆肥満予防
体重が増えると、関節や靭帯への負担が大きくなり、関節炎や靭帯損傷のリスクが高まります。
日頃からフードの量を適切に管理し、猫の年齢や体調に合った運動を取り入れることが大切です。
◆シニア期のケア
加齢にともなって筋力や柔軟性が低下すると、転倒や関節のトラブルが起こりやすくなります。
高齢の猫には、段差の少ない安全な空間を整え、必要に応じてステップやスロープを使って移動の負担を軽減してあげましょう。
◆定期的な健康チェック
目に見えない異常を早めに見つけるためには、定期的な健康診断がとても重要です。
あわせて、毎日の動きやしぐさを観察することも大切です。
「いつもより動きが鈍い」「ジャンプをためらう」といった変化に気づいたときは、迷わず動物病院にご相談ください。
猫は整形外科的なトラブルを抱えていても、それを表に出さないことが多く、気づいたときには症状が進行していることも少なくありません。
だからこそ、飼い主様の日々の観察が、愛猫の健康を守るうえでとても大切です。
整形外科疾患は、高齢の猫だけでなく、若く元気な猫にも起こりうるものです。
思わぬ事故や生活環境のちょっとした影響によって、関節や骨に負担がかかることもあります。
「いつもと様子が違うかも?」と感じたときこそが、早期発見のチャンスです。
気になる症状がありましたら、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
京都市左京区 北山駅から徒歩5分、松ヶ崎徒歩7分 京都北山動物病院
℡:075-744-6188