2024.09.25
猫を飼育している方や猫に関心がある方は、FIP(猫伝染性腹膜炎)という病気を耳にしたことがあるかもしれません。
FIPは、かつては治療が難しい病気として恐れられており、発症した猫は治療が困難とされていました。しかし、近年の研究や医療の進展により、少しずつではありますが治療の可能性も見えてきています。
FIPは特に若い猫や免疫力の低下した猫に多く見られる病気で、発症すると急速に進行し、命に関わることがあるため、飼い主様としては特に注意が必要です。
今回の記事では、FIPがどのような病気であるか、その原因や症状、そして最新の治療法について詳しく解説し、大切な愛猫を守るために知っておくべきポイントをお伝えします。
■目次
1.FIP(猫伝染性腹膜炎)とは?
2.FIP(猫伝染性腹膜炎)の症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ
FIP(猫伝染性腹膜炎)は、以前は発症するとほとんどの猫が助からないとされていた、とても恐ろしい病気です。
特に、子猫の時期に多く発症し、迎えたばかりの大切な子猫との突然のお別れにつながることが多い病気でもあります。しかし、最近では治療法の進展が見られ、治療の可能性が広がってきています。
FIPにはいくつかのタイプがあり、それぞれのタイプによって現れる症状が異なります。
さまざまな臓器に「肉芽腫性炎」というしこりができ、その場所によって異なる症状が現れます。
例えば、消化器官にできた場合は下痢や黄疸が見られることがあり、目にできると目が濁ったり充血したりします。脳にできると首が傾き、麻痺や痙攣といった神経症状が現れることもあります。
腹水や胸水が溜まることで、お腹が膨らみ、呼吸が苦しくなることがあります。また、高熱や食欲不振が見られ、進行が非常に早いため、突然状態が悪化することも少なくありません。
ドライタイプとウェットタイプの両方の症状が現れます。
FIPの原因は、「猫伝染性腹膜炎ウイルス」というウイルスで、これはコロナウイルス科コロナウイルス属1群に属します。
もともとは猫に一般的に見られる「猫腸コロナウイルス」が、何らかの変異によって猫伝染性腹膜炎ウイルスに変わるのではないかと考えられています。
FIPは、ひとつの検査で明確に診断できる病気ではありません。診断には、まず猫の症状を詳しく伺い、身体検査を行います。
その後、血液検査や腹水などの貯留液の検査、抗体検査、レントゲン検査、超音波検査など、さまざまな検査を組み合わせて総合的に判断します。
FIPには、まだ確立された治療方法はありません。これまでは、症状を和らげる対症療法が中心でしたが、最近では治療の可能性が少しずつ広がりつつあります。
現在、日本でもいくつかの治療薬が使用され始めており、選択肢が増えています。
治療方針は動物病院によって異なるため、飼い主様が納得できる治療を提案してくれる動物病院とよく相談することが大切です。
FIPの原因となる猫伝染性腹膜炎ウイルス自体は、猫から猫へ直接感染することはありません。しかし、発症には猫腸コロナウイルスの感染が関連していると考えられており、これに対する予防策が重要です。
猫腸コロナウイルスは、糞便や鼻汁などを介して広がるため、愛猫を屋外に出さず、完全室内飼いにしましょう。
また、多頭飼育をしている場合は家庭内での感染リスクが高まるため、猫が猫腸コロナウイルスを持っているかどうかの検査を考えることも一つの方法です。
さらに、猫腸コロナウイルスがFIPを引き起こす猫伝染性腹膜炎ウイルスに変異する原因はまだ完全にはわかっていませんが、愛猫の健康を守るためには、ストレスを減らし、バランスの取れた食事を心掛けることが大切です。日々のケアが、愛猫の健やかな生活につながります。
FIPは恐ろしい病気ですが、希望を持つことも大切です。最近では、治療に前向きな成果が見られるケースも増えています。
愛猫がFIPと診断されたら信頼できる動物病院と連携し、最新の治療情報を参考にしながら最善の道を探しましょう。愛猫と一緒にできる限りのサポートを続けることが、後悔のない選択につながります。
当院はキャットフレンドリークリニックとして、猫にやさしい診療環境を整えています。愛猫が安心して過ごせるよう、専門のスタッフと設備でお迎えしますので、ぜひ、愛猫と一緒にご来院ください。
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