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2025.06.25
愛犬の体調に異変を感じたとき、飼い主様がいち早く気づくことが何よりも大切です。しかし、見逃しやすい症状が重大な健康リスクにつながることもあります。
その中でも特に注意が必要なのが、「胃拡張」や「胃捻転」と呼ばれる状態です。胃拡張は単独でも危険な状態ですが、さらに進行すると胃捻転を引き起こし、命に関わる可能性があるため早めの対応が重要です。
今回は、胃拡張の基礎知識と見逃してはいけない4つの警告サインについて解説していきます。
■目次
1.胃拡張とは?
2.健康な胃と拡張した胃の違い
3.見逃せない4つの警告サイン
4.胃拡張と胃捻転の関係
5.予防法と日常のケア
6.よくある質問(Q&A)
7.まとめ
胃拡張とは、胃の中に通常以上のガスや液体が溜まり、風船のように膨らんでしまう状態です。主な原因として、食べ過ぎや水の飲み過ぎ、食後すぐの激しい運動などが挙げられます。
通常、胃は柔軟に動きながら食べ物を消化し、腸へ送り出します。しかし、胃拡張が起こるとその動きが阻害され、消化物が胃の中に留まり続けてしまいます。
さらに進行すると、胃がねじれてしまう「胃捻転」を引き起こし、血流が遮断されて臓器が壊死する危険があるため、緊急の治療が必要です。
特に大型犬や胸の深い犬種(ゴールデンレトリバー、グレートデーン、ジャーマンシェパード、スタンダードプードル、ミニチュアダックスフンド など)は胃拡張・胃捻転のリスクが高いとされています。
愛犬の体調や食後の行動に少しでも異変を感じたら、すぐに動物病院へ連絡しましょう。
・収縮と弛緩を繰り返しながら、効率よく消化を行う
・食べ物をスムーズに腸へ送り、正常な消化を維持する
・胃壁が大きく引き伸ばされ、正常な動きができなくなる
・周囲の臓器を圧迫し、呼吸困難や血流障害などの不調を引き起こす
胃拡張は早期発見が何よりも重要です。 以下の症状が見られた場合、すぐに動物病院を受診する必要があります。
胃拡張の最もわかりやすい兆候は、お腹が異常に膨らんでいることです。
触ると硬く張っていることが多く、普段とは明らかに違うと感じられるでしょう。
この症状は、胃の中にガスや液体が溜まっているサインであり、時間が経つほど危険度が増します。
胃拡張が起こると犬は嘔吐しようとしますが、実際には何も吐き出せない「空吐き」が見られることが多いです。
これは、胃の中にガスや内容物が溜まり、吐き気を催しているものの、胃の出口が塞がれているため食べ物や液体を吐き戻せない状態です。
胃拡張が進行すると、犬は強い不快感や痛みを感じ、落ち着きがなくなります。
具体的には、座ったり立ったりを繰り返す、床を掘るようなしぐさをするなど、そわそわした様子が見られることがあります。
これらの行動は、気分の悪さや苦しさを訴えるサインであることが多いです。
胃が拡張すると横隔膜が圧迫され、正常に呼吸することが難しくなります。
その結果、呼吸が速く荒くなり、さらに症状が進行すると舌や歯茎が青白くなる(チアノーゼ)こともあります。このような状態は非常に危険で、一刻も早い治療が必要です。
胃拡張はそれ自体でも危険な状態ですが、さらに悪化すると「胃捻転」を引き起こす可能性があります。
胃が異常に膨らむと、その重みで胃がねじれ、食道(入り口)と小腸(出口)が塞がってしまいます。
この状態になると、次のような深刻な問題が発生します。
・胃に溜まったガスや液体が排出できなくなり、どんどん膨らむ
・胃の血流が遮断され、組織が壊死し始める
・進行するとショック状態に陥り、命に関わる危険がある
胃捻転は短時間で急激に悪化するため、一刻も早い処置が必要です。異変を感じたら、すぐに動物病院へ向かいましょう。
胃拡張や胃捻転は、日頃の生活習慣を見直すことで予防できる病気です。
愛犬の健康を守るために、以下のポイントを意識しましょう。
◆適切な食事の与え方
一度に大量の食事を与えると胃に負担がかかるため、1日の食事量を複数回に分けて与えましょう。また、早食いをすると胃の中にガスが溜まりやすくなるため、早食い防止用の食器を活用するのもおすすめです。
◆食後の運動管理
食後すぐに激しい運動をすると、胃が膨張した状態でねじれるリスクが高まります。食後1〜2時間はできるだけ落ち着いて過ごし、消化を優先させましょう。
そのうえで、適度な運動を取り入れることで、胃腸の動きを正常に保ち、予防につながります。
◆ストレスを減らす
環境の変化などのストレスによりそれが胃拡張を引き起こすことがあります。愛犬が安心できる環境づくりを意識しましょう。
◆水分補給の管理
一度に大量の水を飲むと胃が急に膨らみ、胃拡張を引き起こす原因になります。少量ずつ、こまめに水を与えるように心がけましょう。
A.胃拡張や胃捻転は自宅での対応が難しく、すぐに動物病院での診察が必要です。異変に気づいたらすぐに病院へ連絡し、できるだけ早く受診しましょう。
病院へ向かう際は、無理な態勢はとらせないように心がけましょう。ただし、お腹を圧迫したり、無理に吐かせようとしたりするのは危険です。慌てず、安全に移動できるよう心がけましょう。
A.大型犬や胸の深い犬種は特に発症リスクが高いとされています。以下は、好発犬種の一例です。
・ゴールデンレトリバー
・グレートデーン
・ジャーマンシェパード
・スタンダードプードル
・ラブラドールレトリバー
・ボクサー
・ミニチュアダックスフンド など
これらの犬種と暮らしている飼い主様は、特に日頃の生活習慣を意識し、予防を心がけることが大切です。
胃拡張や胃捻転は、命に関わる病気であり、早期発見と迅速な対応が重要です。「胃の膨張」「嘔吐」「不安な行動」「荒い呼吸」などの症状が見られたら、すぐに動物病院へ連絡してください。
また、日頃から食事や運動の管理、生活環境を見直すことで、発症のリスクを抑えることができます。
当院では、胃拡張や胃捻転などの緊急時にも速やかに対応できるよう準備を整えていますので、気になることがあればいつでもご相談ください。
京都市左京区 北山駅から徒歩5分、松ヶ崎徒歩7分 京都北山動物病院
℡:075-744-6188