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2025.02.27
愛犬が突然足を引きずったり、痛がったりする様子を見せたりすると、飼い主様としてはとても心配になりますよね。
歩き方がおかしい、足をかばうような仕草をする。そんなときに考えられる病気のひとつが「レッグペルテス病」です。
この病気は特に小型犬に多く見られる疾患で、放っておくと症状が悪化し、歩行が困難になることもあります。そのため、早期発見と適切な治療がとても重要です。
今回は、レッグペルテス病の原因や初期症状、進行するとどうなるのかについて詳しく解説します。
■目次
1.レッグペルテス病とは?
2.初期症状から進行期の症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予後と生活上の注意点
6.よくある質問(Q&A)
7.まとめ
レッグペルテス病とは、大腿骨の先端(股関節を形成する部分)の血流が滞ることで骨が壊死し、関節に異常が生じる病気です。特に小型犬に多く発症することが知られています。
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、遺伝的な要因や血流の異常が関係していると考えられています。
進行すると歩行に支障をきたし、痛みを伴うため、早めの対応が大切です。
レッグペルテス病は、以下の小型犬種で発症リスクが高いとされています。
・トイプードル
・ヨークシャーテリア
・マルチーズ
・チワワ
・ミニチュアピンシャー
また、生後4〜12ヶ月の成長期の犬に多く見られるのも特徴です。子犬のうちに発症しやすいため、歩き方に違和感を覚えたら注意が必要です。
レッグペルテス病は徐々に進行する病気で、早い段階での発見が治療の成功を大きく左右します。症状が軽いうちに気づいて適切な対応をすることが大切です。
ここでは、初期から進行期までの症状の変化について詳しく説明します。
この段階では、まだ軽い症状が多く、見逃されやすいことがあります。
・足を引きずるような歩き方をする
・運動後に痛みを感じる様子を見せる
・片足に体重をかけたがらない
・軽度の跛行(歩行異常)が始まる
この頃になると、痛みが強くなり、行動にも変化が現れます。
・跛行が悪化し、足を完全に持ち上げるようになる
・痛みが強くなるため、足に触られるのを嫌がる
・動きたがらない、活動量が減る
・病変のある側の筋肉が萎縮して細くなる
放置すると、関節や骨に大きなダメージを受け、歩行が困難になることもあります。
・関節の変形が進み、歩くのが難しくなる
・痛みが慢性的になり、安静時でも辛そうにする
・重症の場合、骨や関節に深刻なダメージが残り、元の状態に戻るのが難しくなる
レッグペルテス病は放置するとどんどん悪化する病気です。しかし、早期に発見できれば治療の選択肢が広がり、愛犬の負担も軽減できます。
「歩き方がおかしいかも?」と少しでも気になったら、すぐに動物病院に相談することをおすすめします。
レッグペルテス病を診断する際には、まず歩行の状態や痛みの有無を確認し、触診を行います。
そのうえで、より詳しく調べるためにレントゲン検査が欠かせません。レントゲンでは、触診だけでは判断が難しい骨の変形や壊死の状態を正確に確認できるため、適切な診断にはとても重要です。
また、病気の進行度を把握し、愛犬に合った治療法を選ぶためにもレントゲン検査は有効な手段とされています。
さらに、より詳しい評価が必要な場合には、CT検査やMRI検査が行われることもあります。
治療には、保存療法と手術療法の2つの選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、病気の進行度や愛犬の体力、生活環境などを考慮して適切な方法を選びます。
■メリット
・手術のリスクを回避できる
・軽度の症状に対して有効
・痛みを和らげ、病気の進行を遅らせることが期待できる
■デメリット
・重症例には効果が限定的で、十分な改善が見込めないことがある
・症状が完全に治るわけではないため、継続的な管理が必要
・リハビリや定期的な動物病院でのケアが欠かせない
■メリット
・痛みの根本原因を取り除くことができる
・予後(術後の回復)が良好なケースが多い
■デメリット
・麻酔や手術に伴うリスクがある
・術後のリハビリが必須となる
・手術費用がかかる
手術療法の中でも特に一般的なのが「大腿骨頭切除術」です。
この手術は、壊死した大腿骨の頭の部分を切除し、股関節の痛みを軽減して動きやすくすることを目的としています。
人工関節を入れるのではなく、筋肉や周囲の組織が支えとなることで、新しい関節のような機能が形成されます。
手術後は、リハビリを行いながら徐々に歩行を回復させていきます。
当院でも大腿骨頭切除術を実施しており、手術後のリハビリまでしっかりとサポートいたします。
レッグペルテス病の治療後、愛犬が快適に生活できるようにするためには、リハビリと日常生活での注意がとても大切です。
手術を受けた場合、回復には数ヶ月かかりますが、適切なリハビリとケアを続けることで、多くのケースで順調な回復が見込めます。
ただし、術後のリハビリが回復のカギとなるため、飼い主様の積極的なサポートが重要です。
愛犬の様子を観察しながら、無理のない範囲で少しずつリハビリを進めていきましょう。
リハビリは、関節の可動域を広げ、筋力を回復させるために欠かせません。以下のような方法が効果的です。
・軽い散歩:最初は短時間から始め、徐々に時間を延ばす
・水中運動:水の浮力を活かして関節への負担を軽減しながら筋力を鍛える
・マッサージ:血流を促進し、筋肉の緊張をほぐす
愛犬の状態に合わせて、無理のない範囲でリハビリを続けることが大切です。
治療後も、以下の点に気をつけることで、再発や関節への負担を防ぐことができます。
・滑りにくい床材を使用する
フローリングなどの滑りやすい床は、関節に負担をかけるため、カーペットやマットを敷くと安心です。
・適切な体重管理をする
肥満は関節に大きな負担をかけるため、食事管理や適度な運動で健康的な体重を維持しましょう。
・定期的な診察を受ける
治療後も定期的に動物病院を受診し、獣医師の指導を受けながらケアを継続することが大切です。
Q.レッグペルテス病は遺伝病ですか?
A.レッグペルテス病には遺伝的要因が関与していると考えられています。特に、トイプードルやヨークシャーテリア、チワワなどの小型犬で発症率が高いことが知られています。
しかし、環境要因も発症リスクに影響を与えるため注意が必要です。過度な運動や適切でない体重管理がリスクを高める可能性があるため、日頃から愛犬の健康管理を心がけることが大切です。
Q.愛犬が足を引きずっているのですが、レッグペルテス病でしょうか?
A.足を引きずる原因は、レッグペルテス病以外にもさまざまな疾患が考えられます。例えば、以下のような病気が関係している可能性もあります。
・股関節形成不全(関節の発育異常による歩行障害)
・外傷や捻挫(転倒やぶつかった際のケガ)
・膝蓋骨脱臼(膝のお皿がずれることで発生する痛みや歩行異常)
これらの症状は、レッグペルテス病と似た経過をたどることがあるため、自己判断は危険です。少しでも異変を感じたら、早めに動物病院で診察を受けることをおすすめします。
レッグペルテス病は小型犬に多く発症する病気ですが、早期に発見し適切な治療を行うことで、愛犬の負担を軽減できます。
歩き方に違和感がある、足をかばう仕草をするなどの症状が見られたら、できるだけ早く動物病院を受診することが大切です。
気になる症状や治療についてご不明な点がございましたら、ぜひ当院までご相談ください。
京都市左京区 北山駅から徒歩5分、松ヶ崎徒歩7分 京都北山動物病院
℡:075-744-6188