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スタッフブログ

愛犬の小さなSOSに気づいてる?|椎間板ヘルニアのサイン

2025.06.25

愛犬が突然元気をなくしたり、いつもと違う動きをしたりすると、「何かおかしいかも?」と不安になることはありませんか?
その小さな変化は、もしかすると体のどこかに痛みを抱えているサインかもしれません。

特に、椎間板ヘルニアは犬にとって強い痛みを伴う病気のひとつです。発症すると、歩き方がおかしくなったり、動くのを嫌がったりすることがあります。
さらに、悪化すると歩けなくなってしまうこともあるため、早期発見と適切な治療がとても大切です。

今回は、椎間板ヘルニアのサインや特徴について詳しく解説します。愛犬の小さなSOSを見逃さないために、ぜひチェックしてみてください。

■目次
1.犬の椎間板ヘルニアのサイン
2.進行段階ごとの症状
3.椎間板ヘルニアの4つの特徴
4.重症度別|椎間板ヘルニアの治療選択肢
5.よくある誤解と真実
6.まとめ

 

犬の椎間板ヘルニアのサイン

犬は言葉を話せないため、痛みを直接伝えることができません。しかし、行動や仕草に現れる小さなサインを注意深く観察することで、異変に気づくことができます。

もし、以下のようなサインが見られたら、椎間板ヘルニアなどの病気の可能性も考えられます。早めに動物病院を受診し、獣医師に相談しましょう。

活動量の低下:いつも元気に走り回っているのに、急に動きたがらなくなる。
鳴き声の変化:触れたときに悲鳴を上げる、または普段とは違う高い声で鳴く。
姿勢の変化:背中を丸める、首を下げたまま動かない。
触られるのを嫌がる:特に背中や腰に触ると嫌がる。

 

進行段階ごとの症状

犬の椎間板ヘルニアは、症状の進行とともに動きや行動に明らかな変化が現れます。

 

<初期段階|「何かおかしいかも?」と感じるレベル>

この段階で気づけば、負担の少ない治療で改善できる可能性があります。

なんとなく元気がない
階段の上り下りを嫌がる
ソファやベッドに飛び乗るのをためらう

 

<中期段階|歩き方や動きに明らかな異変が出る>

進行すると、歩行や日常生活に支障が出てきます。できるだけ早く獣医師に相談しましょう。

後ろ足がもつれる、ふらつく
散歩中に立ち止まることが増える
トイレをする姿勢を取るのが難しそうに見える

 

<重度の症状|早急な対応が必要>

ここまで進行すると、緊急の治療が必要です。すぐに動物病院を受診しましょう。

後ろ足が完全に動かなくなる
尿や便を漏らしてしまう
痛みで夜中に鳴き続ける

 

椎間板ヘルニアの4つの特徴

犬の椎間板ヘルニアは、発症の仕方や症状、治療後の回復期間などにさまざまな特徴があります。愛犬の健康を守るために、この病気の特性をしっかり理解しておきましょう。

 

1.急性型と慢性型で症状が異なる

椎間板ヘルニアには急性型慢性型があり、それぞれ症状の現れ方が大きく異なります。

<急性型(突然発症するタイプ)>
急性型は、突然症状が現れるタイプで、激しい痛みにより動けなくなってしまうことが特徴です。

 

<慢性型(ゆっくり進行するタイプ)>
慢性型は徐々に症状が進行するため、気づくのが遅れることがあります。
後ろ足が弱くなって歩き方がぎこちなくなったり、痛みが断続的に現れたりするのが特徴です。

 

2.小型犬と大型犬で症状の出方が異なる

椎間板ヘルニアは特定の犬種に多い病気で、特にダックスフンドやビーグルなどの小型犬に発症しやすいですが、大型犬も発症することがあり、症状の出方には違いがあります。

犬の椎間板ヘルニアで症状が出やすい場所を示したイラスト。小型犬は背中の中央部(胸椎〜腰椎)に症状が出やすく、黄色で表示。大型犬は首の付け根や背中などに症状が出やすく、青色で示されている。

<小型犬の場合>
背中の中央部(胸椎〜腰椎)に症状が出やすく、足がもつれるようになったり、座るときにお尻を引きずったりすることが見られます。

 

<大型犬の場合>
背中だけでなく、首周りや首の付け根に症状が現れることが多く、痛みで首を動かせなくなったり、前足にも影響が出たりする場合があります。

 

3.再発しやすい病気なので注意が必要

椎間板ヘルニアは治療後も再発リスクが高い病気です。特に以下のような条件に当てはまる犬は注意が必要です。

・治療が遅れてしまった場合
・運動量が多く、激しい動きをする犬
・椎間板の変性が進んでいる犬

予防のためには、適切な体重管理を行い、背骨に負担がかかるようなジャンプや段差の上り下りを避けることが大切です。

 

4.完治までの期間には個体差がある

回復期間は、症状の重さや治療方法によって大きく異なります。
軽度な場合は数週間で回復することもありますが、重度の症例では数ヶ月以上かかることも珍しくありません。
特に手術を受けた場合は術後のリハビリテーションが回復に大きな影響を与えるため、根気強くケアを続けることが重要です。
焦らず、獣医師の指導のもとで適切なケアを行いましょう。

 

重症度別|椎間板ヘルニアの治療選択肢

椎間板ヘルニアの治療方法は、症状の重さ(グレード)によって異なります。
ここでは、各重症度に応じた治療法とその選択基準について詳しく解説します。

 

<軽度:グレード1|痛みのみ>

この段階では、痛みはあるものの神経症状はなく、歩行も問題ない状態です。治療の基本は薬物療法と安静管理になります。

まず、鎮痛剤や抗炎症薬を使用し、痛みと炎症を抑えます。
さらに、腰に負担がかからないように1〜2週間の完全な安静(ケージレスト)が推奨されます。動きを制限することで、椎間板への負担を軽減し、自然回復を促します。

この方法のメリットは、体への負担が少なく、費用も比較的抑えられることです。一方で、安静を徹底するのが難しい場合や、再発のリスクが高い点がデメリットになります。

治療期間は2〜4週間が目安ですが、症状が改善しない場合は、次のステップに進む必要があります。

 

<中等度:グレード2|ふらつきや軽度の麻痺>

この段階では、足元のふらつきや軽い麻痺が出るものの、歩行は可能な状態です。治療の選択肢として、薬物療法に加え、リハビリテーションを取り入れる方法があります。

リハビリの一環として水中トレッドミルを用いることが多く、水の浮力を利用することで関節や神経に負担をかけずに筋力を維持できます。 また、マッサージやストレッチなどの理学療法を併用することで、さらに回復をサポートします。

しかし、症状が進行している場合や薬とリハビリで改善が見られない場合は、手術を検討することもあります。 手術を行えば、神経の圧迫を直接取り除くことができますが、費用やリスクが伴うため、慎重に判断することが大切です。

治療期間は数週間から数ヶ月程です。症状の進行を防ぐためにも、早めの対応が重要になります。

 

<重度:グレード3〜5|歩行不能・麻痺>

歩行ができない、もしくは完全な麻痺がある場合、外科手術が主な治療法になります。 この状態では、内科的治療だけでは回復が難しく、放置すると回復の可能性が低くなるため、できるだけ早く手術を受けることが推奨されます。

なお、グレード3の場合は、まだ内科的治療での改善が見込まれることもありますが、発症から1週間以内に症状が悪化した場合には、手術への移行が強く勧められます。

手術では、ヘルニアを起こしている部分を除去し、圧迫された神経を解放します。 ただし、手術後すぐに歩けるわけではなく、長期的なリハビリが必要になります。

術後の回復には個体差がありますが、一般的に数ヶ月以上かかることが多く、リハビリの進め方が予後に大きく影響します。特に、早期からリハビリを始めることで、歩行機能の回復が期待できます。

手術には神経の損傷リスクや費用の負担があるため、獣医師とよく相談しながら最適な治療法を選択しましょう。

当院の症例紹介はこちら

 

よくある誤解と真実

椎間板ヘルニアに関しては、さまざまな情報が飛び交っています。しかし、中には誤解されやすいものもあり、間違った認識が愛犬の治療やケアに影響を与えることもあります。ここでは、よくある誤解とその真実について詳しく解説します。

 

❌ 誤解:「安静にしていれば治る」
「痛みが軽くなるまで安静にしていれば、そのうち自然と治る」と思われがちですが、これは誤解です。

✅ 真実
軽度の症例では、一時的に症状が改善することもあります。しかし、根本的な治療にはならず、放置すると再発リスクが高まります
特に、適切なケアをせずに普段どおりの生活を続けると、再び症状が悪化する可能性もあるため注意が必要です。

 

❌ 誤解:「手術しか治療法がない」
「椎間板ヘルニアになったら、手術をしないと治らない」と思う方も少なくありません。

✅ 真実
内科的治療やリハビリで改善するケースもあります。 軽度の症状であれば、薬や適切なリハビリを行うことで、手術をせずに回復する可能性があります。
ただし、症状が進行した場合や麻痺がある場合には、手術が必要になります。

 

❌ 誤解:「若い犬は椎間板ヘルニアにならない」
「高齢の犬がなる病気だから、うちの子はまだ若いし大丈夫」と思われがちですが、これも誤解です。

✅ 真実
若い犬でも、椎間板の変性は起こり得ます。 特に、ダックスフンドやビーグルなどの好発犬種では、若いうちから発症するケースも少なくありません。
そのため、年齢に関係なく、犬種の特徴や日頃の様子をしっかり観察し、早期発見・早期対応を心がけることが大切です。

 

❌ 誤解:「完治すれば元の生活に戻れる」
「治療が終われば、以前と同じように走ったりジャンプしたりできる」と思っていませんか?

✅ 真実
治療後も体重管理や運動制限が必要です。 たとえ症状が改善しても、椎間板ヘルニアは再発しやすい病気のため、無理をさせないことが大切です。
特に、再発リスクを減らすために、生活環境を見直すことが重要になります。滑りやすい床を改善する、過度なジャンプを避ける、適度な運動を心がけるなど、日常生活の中でできる工夫を続けることが大切です。

 

まとめ

椎間板ヘルニアは、早期発見と適切な治療が回復のカギとなる病気です。軽度の痛みから重度の麻痺まで症状の幅が広いため、それぞれの状態に応じた治療を行うことが大切です。

また、よくある誤解を解消し、正しい知識を持つことも重要です。 「安静にしていれば治る」「手術しか治療法がない」といった誤解を避け、愛犬にとって最適な選択ができるように心がけましょう。

当院では、診断から治療、術後のケアまで包括的なサポートを行っております。些細な変化でも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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