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2025.07.23
ある日、愛犬の目に赤く腫れたふくらみが突然現れたら、それは「チェリーアイ」かもしれません。この症状は、その見た目から「さくらんぼ目」とも呼ばれ、犬によく見られる目のトラブルの一つです。
可愛らしい名前とは裏腹に、放置すると悪化する可能性があり、適切な治療が必要になります。
今回は、チェリーアイの原因やリスク、治療法に加え、予防策についても詳しく解説します。
■目次
1.チェリーアイとは?可愛らしい名前に隠れた目のトラブル
2.愛犬の性格や生活習慣でリスクが変わる?
3.放っておくとどうなるの?
4.飼い主様が見落としがちなSOSサイン
5.診断方法
6.治療方法
7.予防法
8.よくある質問(Q&A)
9.まとめ
「チェリーアイ」という名前を聞くと可愛らしい印象を受けますが、医学的には「第三眼瞼腺脱出」と呼ばれる目のトラブルの一つです。
第三眼瞼腺(涙腺)は、目の内側にあり、涙を分泌する大切な役割を担っています。ところが、この涙腺が本来の位置から飛び出してしまうことで、目の内側に赤く膨らんだ腫れが現れます。
その見た目が小さなさくらんぼのように見えることから、「チェリーアイ」と名付けられました。
一見、目に小さなチェリーがくっついているだけのようにも思えますが、放置すると炎症の悪化や涙の分泌異常など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
チェリーアイはどの犬にも起こり得る目のトラブルですが、犬種や性格、生活環境によって発症リスクが高まることが知られています。
特定の犬種では、生まれつきチェリーアイのリスクが高いことが分かっています。
特に以下の犬種は目の構造が独特であるため、第三眼瞼腺が脱出しやすい傾向があります。
・短頭種(パグ、フレンチブルドッグ、シーズー など)
・小型犬(ビーグル、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル など)
愛犬の性格や普段の行動も、チェリーアイの発症リスクに影響を与えます。
特に活発でエネルギッシュな犬は、遊びの中で勢いよく動き回るうちに目に負担をかけることがあります。
また、頻繁に顔をこすりつけたり、目を引っ掻いたりするクセがある犬は、目の周りを刺激することで第三眼瞼腺が飛び出しやすくなり、リスクが高まります。
砂ぼこりが目に入ると、違和感から目をこすったり、引っ掻いたりする原因になることがあります。その刺激によって第三眼瞼腺が影響を受け、脱出しやすくなることも考えられます。
また、遊んでいる最中に勢いよく顔をぶつけると、目に衝撃が加わり、チェリーアイの発症リスクが高まる可能性があります。
愛犬が安全に過ごせるよう、遊ぶ環境や習慣を見直すことが大切です。
チェリーアイは初期の段階では軽い症状に見えることが多いですが、適切な対応をしないと徐々に悪化し、愛犬の目の健康に大きな影響を与える可能性があります。
目の内側に赤く腫れたふくらみが現れ、まるでゴミが入っているように見えることがあります。
この段階では痛みを感じにくい犬も多いため、飼い主様が見逃してしまうことも少なくありません。
腫れが大きくなり、目の充血や目やにの増加、涙の量が増えるといった変化が現れます。
また、目を気にして前足でこすったり、家具に顔をこすりつけたりする仕草が見られるようになることもあります。
さらに悪化すると腫れが慢性化し、炎症によって第三眼瞼腺の機能が低下します。これにより涙の分泌が減少し、「乾性角結膜炎(ドライアイ)」を引き起こすリスクが高まるのです。
この状態になると目が乾燥しやすくなり、角膜に傷がついたり、視力に影響を及ぼしたりする可能性もあります。
次のような行動が見られたら、愛犬の目に異常が起きているサインかもしれません。
・目をしょぼしょぼさせている
・片目だけ閉じる
・いつもより涙が多い
特に、「目やにが増える」「目の周りが赤くなる」といった症状が見られた場合は、悪化を防ぐためにも早めに動物病院に相談することが大切です。
チェリーアイの診断は、まず獣医師が目視で腫れの状態を確認することから始まります。
そのうえで、必要に応じて以下のような追加検査を行い、他の目の疾患が併発していないかを詳しく調べます。
・眼圧測定:緑内障などの併発症状がないかを確認
・涙液量検査:涙の分泌量を測定し、乾性角結膜炎(ドライアイ)のリスクを評価
・スリットランプ検査:目の表面や内部の状態を詳しく調べる
チェリーアイは目で見て分かる症状ですが、放置すると他の目のトラブルにつながることもあるため、正確な診断が重要です。
チェリーアイの治療法は、症状の重さによって異なります。
・軽度の場合
目薬や抗炎症剤を使用し、炎症を抑える対症療法が行われます。
ただし、腺の脱出自体を治すことは難しいため、症状が改善しない場合は手術が必要になります。
・重度の場合
腫れが大きくなったり、炎症が慢性化したりした場合は、手術が一般的な治療法となります。
手術では、脱出した第三眼瞼腺を元の位置に戻し、縫合して固定します。これは、涙の分泌を維持し、第三眼瞼腺の機能を守るために欠かせない処置です。
なお、第三眼瞼腺を摘出する手術は推奨されていません。摘出すると涙の分泌が減少し、乾性角結膜炎(ドライアイ)を引き起こすリスクが大幅に高まるため、できる限り腺を温存する方法が選ばれます。
術後は、愛犬が目をこすらないようエリザベスカラーを着用し、炎症や感染を防ぐために処方された目薬を定期的に点眼する必要があります。
腫れが完全に引くまでには通常1〜2週間かかりますが、個体差があるため、経過を注意深く見守ることが大切です。また、再発を防ぐためには、ストレスを最小限に抑え、目への刺激を避ける環境を整えることも欠かせません。
・顔をこすらない環境を整える
硬いカーペットや家具の角で顔をこすると、目に負担がかかり、炎症や腺の脱出を引き起こす可能性があります。
愛犬が顔をこすりやすい場所には、クッションや柔らかいラグを敷くなど、刺激を減らす工夫をしましょう。
・目の清潔を保つ
目の周りに汚れがたまると炎症の原因になるため、湿らせたコットンで優しく拭き、清潔を保つことが大切です。
・リスクの高い犬種には特別な配慮
短頭種や小型犬は、目の構造上、チェリーアイを発症しやすいとされています。こまめに目の状態をチェックし、眼科検査を含む定期健診を受けることが大切です。
A.はい、両目が同時に発症するケースもあります。
過去のデータでは、チェリーアイを発症した犬の約40%が両目で発症したと報告されています。
ただし、両目同時に発症するのは珍しく、多くの場合、一方の目が先に発症し、数週間から数ヶ月後にもう一方の目が発症するケースが一般的です。
A.軽度の場合は、目薬や抗炎症剤で症状を抑えられることもありますが、根本的な解決には手術が必要です。
放置すると炎症が悪化したり、再発を繰り返したりするリスクが高まるため、獣医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
A.手術自体が視力に影響を与えることはありません。
ただし、術後のケアが適切に行われないと、炎症や感染などの二次的な問題が生じる可能性があります。
エリザベスカラーの着用や処方された目薬の点眼をしっかり行い、獣医師の指示に従って経過を見守ることが大切です。
チェリーアイは放置すると悪化し、涙の分泌異常や視力低下につながる可能性があります。
特に、短頭種や小型犬は発症リスクが高いため、日頃から目の状態をこまめにチェックすることが大切です。
「目が赤く腫れている」「涙が増えた」「目を気にしてこすっている」などの症状が見られたら、早めに対処することで悪化を防げます。愛犬の目のことで気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
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