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スタッフブログ

犬の股関節形成不全|進行するとどうなる?手術が必要なケースとは

2026.03.04

「最近、うまく歩けていない気がする」「散歩の途中で座り込むようになった」「後ろ足の動きがなんだかおかしい」こうしたお悩みは、動物病院でもよくご相談いただく内容です。
その背景に、股関節形成不全という病気が隠れていることがあります。

股関節形成不全は、特に成長期の犬に多く見られる病気で、進行すると強い痛みや歩行困難を招くことがあります。一方で、早い段階で気づいて適切なケアや治療を行うことで、痛みを和らげ、できるだけ元気に歩ける状態を目指すことも十分可能です。

今回は、股関節形成不全の特徴、気づきやすいサイン、診断の流れ、治療の選び方、そして手術が必要になりやすいケースについて、わかりやすく解説します。

■目次
1.「股関節形成不全」とは?
2.こんなサインは要注意
3.いつから症状が出るの?
4.診断の流れ
5.進行の程度によって、治療の考え方が変わります
6.大腿骨頭切除術(FHO)とは?
7.術後ケアとリハビリの重要性
8.まとめ

 

「股関節形成不全」とは?

股関節形成不全は、股関節の「ゆるみ」や「形の合いにくさ」によって起こる、先天的な体質が関係する関節の病気です。
股関節は、骨盤側の受け皿(寛骨臼)と、太ももの骨の丸い先端(骨頭)がしっかりかみ合うことで、なめらかに動きます。ところが、このかみ合わせが生まれつき浅かったり、成長の過程でズレが大きくなったりすると、関節が不安定になり、動くたびに負担がかかりやすくなります

ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ジャーマン・シェパードなどの大型犬の若い犬でよく見られますが、小型犬でも起こることがあります。

発症には体質(遺伝)の影響が大きいと考えられています。そこに、体重が増えて関節に負担がかかること、成長が急に進むこと、運動の内容や量が合っていないことなどが重なると、症状が出やすくなったり、進み方が早くなったりすることがあります。

 

こんなサインは要注意

股関節形成不全は、初期には目立った症状がないことも多く、見逃されがちです。しかし、日常生活の中で以下のような変化が見られた場合は注意が必要です。

散歩を嫌がる/すぐに座り込む
後ろ足をかばう(引きずる、体重をかけたがらない)
立ち上がるのに時間がかかる
階段や段差を避けるようになる
遊びへの興味が薄くなる

また、「腰を振るような歩き方(モンローウォーク)」が見られることもあり、これは後肢のバランスを取るための代償動作と考えられています。

 

いつから症状が出るの?

一般的には、生後4ヶ月〜2歳頃の若齢期に症状が現れることが多いですが、軽度の場合はシニア期まで気づかれず、関節の変形や慢性的な痛みが出てからようやく診断されるケースもあります。

「若い頃は元気だったのに、最近になって歩き方がおかしい」と感じた場合も、実は股関節形成不全が隠れている可能性があるため、注意が必要です。

 

診断の流れ

股関節形成不全の診断では、まず歩き方や立ち座りの様子を見てから、関節を触って痛みの出方や動きの硬さを確認します。
そのうえで基本となるのがレントゲン検査です。股関節の形、ゆるみの程度、すでに関節がすり減っていないか(関節炎が進んでいないか)などを確認します。

ここで大切なのは、レントゲンの見え方と、実際の痛みや歩きにくさが必ずしも一致しないことがある点です。画像上は軽そうに見えても痛みが強い子もいれば、見え方は進んでいても日常生活は保てている子もいます。だからこそ、画像だけで決めずに、生活の様子も含めて総合的に判断していきます。

 

進行の程度によって、治療の考え方が変わります

股関節形成不全の治療は、関節の状態だけでなく、年齢、体重、普段の運動量、ご家庭の床や段差などの環境もふまえて決めます。ここでは分かりやすく、軽度・中等度・重度に分けて説明します。

【軽度】生活の工夫+体重管理+必要に応じて痛みのケア

症状が軽い場合は、まずはご家庭での工夫がとても効果的です。特に体重が増えるほど関節への負担は大きくなるため、適正体重を保つことが大切です。運動は「たくさんやる」よりも「内容を合う形にする」ことがポイントで、ジャンプや急なダッシュが多い運動は控え、ゆっくりした散歩を基本にします。
痛みがある場合は、痛みを和らげる薬を使って生活を楽にしてあげることがあります。

また、床が滑ると股関節に余計な負担がかかるため、滑り止めマットを敷く、ソファや階段の昇り降りを減らす、寝床を低めにする、といった環境づくりも効果的です。

【中等度】痛みのケアに加えて、筋力を落とさない工夫が重要

症状が進んでくると、痛みの管理だけでなく、股関節を支える筋肉を落とさないことが重要になります。痛みが強いと動かなくなり、動かないと筋肉が落ち、筋肉が落ちるとさらに関節に負担がかかる、という悪循環に入りやすいからです。
この段階では、薬で痛みを抑えつつ、状態に合わせてリハビリや体のケアを組み合わせることで、手術をせずに日常生活を保てるケースもあります。

【重度】手術を検討することがあります

ご家庭での工夫や薬だけでは痛みが抑えきれず、散歩や立ち上がりなど日常生活に支障が出ている場合は、手術が選択肢になります
股関節形成不全の手術にはいくつか方法があり、年齢や体格、関節の状態によって適したものが変わります。若齢で関節の形を整えられる場合、重度で人工関節を検討する場合、そして「痛みを取り除くこと」を目的にする場合など、方向性が異なります。

その中で、当院でもご提案することがあるのが大腿骨頭切除術(FHO)です。FHOについては次項で詳しく解説します。

 

大腿骨頭切除術(FHO)とは?

大腿骨頭切除術(FHO)は、股関節の痛みの原因になっている太ももの骨の丸い先端(骨頭)を切り取ることで、骨同士がこすれて生じる痛みを減らす手術です。
人工股関節を入れる手術ではなく、手術後は周囲の筋肉や軟部組織がクッションや支えとなり、股関節の代わりの働きをしていくイメージになります。

特に小型犬〜中型犬では、FHOによって良い結果が得られることが多いとされています。体重が軽いほど関節への負担が少なく、回復も進みやすい傾向があります。

ただし、FHOは「手術をして終わり」ではありません。
術後のリハビリや日常のケアが、その子の歩き方や痛みの改善に大きく影響するため、手術と同じくらい回復期のサポートが重要になります。

 

術後ケアとリハビリの重要性

手術後の経過を良好にするには、以下のような段階的なリハビリが欠かせません。

・術後1週間程度は安静:傷口の回復を待ちます。
・2〜3週目から歩行訓練:短時間の散歩など、軽い運動から開始。
・1〜2ヶ月目はリハビリ強化:水中トレッドミルやマッサージで筋力維持。
・3ヶ月目以降は通常の生活へ徐々に移行。

ただし、回復してきた時期ほど「うれしくて急に動く」「ジャンプする」などが起きやすいため、急な方向転換や激しいジャンプはしばらく控えるのが安心です。

また、ご家庭の環境づくりも回復を支えます。床の滑り対策、段差の調整、ソファや階段の利用を減らす工夫、そして体重管理は、術後の負担を減らすうえで欠かせません

当院では、術後の状態を定期的に確認しながら、その子に合った運動量やご自宅での注意点を一緒に整理していきます。不安なことがあれば遠慮なくご相談ください。

 

まとめ

股関節形成不全は、進行すると生活の質を大きく損なう病気ですが、早期発見・適切な対応によって、痛みを軽減し、楽しく歩ける毎日を取り戻すことができます。

「歩き方が変わった」「散歩に行きたがらない」など、小さな変化も重要なサインです。気になる症状があれば、どんなに些細なことでもお気軽に当院までご相談ください。

 

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