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2025.09.09
「突然、愛犬が立ち上がれなくなった」そんな予期せぬ状況に直面したとき、どうすればよいのでしょうか?
このような場面では、驚きや不安で頭が真っ白になってしまうのも無理はありません。けれども、そんなときこそ飼い主様の冷静な判断と行動が、愛犬の命を守る鍵となることがあります。
今回は、犬が突然動けなくなった場合に考えられる原因や、自宅でできる初期対応、安全に動物病院へ搬送する方法、そして病院に連絡を入れる際に気をつけたい点などを解説します。
■目次
1.犬が突然立てなくなる原因とは?
2.動けなくなった愛犬を見つけたら|冷静に行動するための3ステップ
3.安全な搬送方法と病院に連絡する際のポイント
4.重篤なサインを見逃さないために|前兆と日頃の観察ポイント
5.まとめ
犬が急に立ち上がれなくなる、または体に力が入らずぐったりしていたら、それは体のどこかで重大な異常が起きているサインかもしれません。
特に「まったく動けない」状態は、命に関わる病気の可能性があるため、すぐに対応する必要があります。
犬が突然立てなくなる主な原因は、次の3つに大きく分けられます。
【例】椎間板ヘルニアの急激な悪化/脊髄梗塞/変性性脊髄症(DM)など
これらの病気は、後ろ足の麻痺や全身の力が抜けてしまうといった症状を引き起こします。
特に高齢の犬や、ダックスフンド、コーギー、トイプードルなどの犬種では、発症のリスクが高いとされています。
なかでも椎間板のトラブルは、早急に外科的な処置が必要になることもあるため、すぐに病院へ相談することが大切です。
神経・脊椎外科に関する当院の症例はこちら
椎間板ヘルニアについてはこちらで解説しています
【例】人間用の鎮痛薬(NSAIDsなど)/殺虫剤(有機リン系)/チョコレートやキシリトールの誤食 など
これらの有害物質が体内に入ると、神経や筋肉に障害を起こし、動けなくなってしまうことがあります。
特に神経毒の影響を受けると、呼吸するための筋肉まで麻痺してしまうこともあり、わずか数時間で命の危険にさらされるケースもあります。
【例】内出血(脾臓の腫瘍破裂など)/心不全/急性膵炎/重度の低血糖 など
このような病気では、犬の意識がぼんやりし、動かなくなってしまうことがあります。
一見すると目は開いているけれど、反応が鈍い・動けないといった様子が見られる場合は、体の機能が急激に崩れているサインかもしれません。
突然、愛犬が動けなくなっているのを見つけたら、どんなに落ち着いている方でも動揺してしまうはずです。
ですが、こうしたときこそ、飼い主様の冷静な行動が命を守ることにつながります。
以下の3ステップを参考にしながら、状況に応じて落ち着いて対応しましょう。
まずは愛犬の意識と呼吸の有無を確認しましょう。
そっと近づき、名前を呼びかけてください。その際、目や耳が少しでも動くかどうかを観察しましょう。
次に、胸のあたりをよく見て、15秒間に3回以上呼吸しているかを確認します。
もし、呼びかけにも反応せず呼吸も確認できないようであれば、すぐに動物病院へ電話し、心肺蘇生法(CPR)について指示を仰ぎましょう。
愛犬の様子をしっかり観察し、伝えるべきポイントを整理します。
・どの部分が動かないのか(前足・後ろ足・全身)
・けいれんや失禁があるかどうか
・舌や歯ぐきの色(白っぽい・紫色は特に注意が必要です)
・直前に食べたもの、服用した薬、散歩中に異常はなかったか
※この段階では、絶対に無理に抱き上げたり動かしたりしないでください。特に脊椎に損傷がある場合、症状を悪化させてしまうおそれがあります。
状況を整理できたら、すぐに動物病院へ連絡しましょう。
かかりつけ、または近くの動物病院に電話をし、愛犬の現在の状態をできるだけ簡潔に伝えてください。
可能であれば、スマートフォンで愛犬の様子を動画で記録しておくと、診察時に非常に参考になります。
愛犬を急いで病院へ連れて行こうとするあまり、誤った方法で搬送してしまうと、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。
だからこそ、搬送時は無理に動かさず、できるだけ体への負担を少なくすることが大切です。
◆小型犬の場合
バスタオルや毛布を使い、全身をやさしく包み込むようにして持ち上げましょう。
その際、腰や首を曲げないように注意し、体をできるだけまっすぐ保つことが大切です。
◆中型〜大型犬の場合
スノコやダンボールなど、硬めで平らなものの上にそっと寝かせてください。
体が動かないよう、タオルなどでやさしく固定すると安心です。
可能であれば、2人以上での搬送が望ましいでしょう。
◆車で病院に向かう際の注意点
後部座席や助手席を倒して、愛犬を横に寝かせられるスペースを確保してください。
体が滑らないように、バスタオルや毛布でしっかり包んでおくと安全です。
走行中は急ブレーキなどの衝撃を避けるため、できるだけ静かに運転しましょう。
動物病院に連絡を入れる際は、状況を簡潔に、かつ正確に伝えることが大切です。
・発症した時間とそのときの状況(例:散歩中、食後、寝起き など)
・呼びかけへの反応の有無など、現在の意識の状態
・呼吸の状態(呼吸数や胸の動き)
・嘔吐・下痢・けいれん・出血などの有無
・誤って口にした可能性のあるもの(薬、人間の食べもの、異物など)
・これまでにかかった病気や持病(例:心臓病、てんかん、糖尿病 など)
これらの情報は、診察や処置の準備に直結します。緊急時こそ、落ち着いて伝えることを心がけましょう。
突然、愛犬が動けなくなるという出来事には、実はその前に小さなサインが出ていることがあります。日々の変化を見逃さないことが、早期発見と早期治療につながります。
特に、次のような様子が見られる場合は注意が必要です。
・後ろ足に力が入っていない
・足を引きずる、歩き方が左右で不自然
・すぐに横になって休みたがる、歩くのを嫌がる
・階段を避けるようになる、ジャンプをしなくなる
・食欲はあるのに元気がない、動こうとしない
突然の異変を防ぐためには、毎日のちょっとした観察がとても大切です。以下のような習慣を取り入れてみてください。
◆歩き方や立ち上がる様子を毎日見る
「今日は立ち上がりにくそうだったな」といった変化に気づけるようになります。
◆定期的に体の状態をチェックする
体重、呼吸数、脈拍などを月に1〜2回記録しておくと、異常に気づきやすくなります。
◆年に1〜2回は健康診断を受ける
血液検査、レントゲン(X線)、超音波検査などで、体の中の異常を早めに見つけることができます。
「動けなくなってから病院へ行く」のではなく、「動けなくなる前に気づいてあげる」ことが、愛犬の命を守るための最大の備えです。
「今は少し様子を見よう」と思っているうちに、たった数時間で症状が悪化してしまい、取り返しのつかない状態になってしまうこともあります。
特に、夜間や休日などは「朝まで待ってみようかな」「病院に行くほどではないかもしれない」と迷ってしまうこともあるかもしれませんが、その迷いが愛犬の命に関わる重大な分かれ道になることもあります。
当院では、緊急のご相談にも対応できる体制を整えております。
「なんとなく様子がおかしい」「このまま様子を見ていていいのか不安」そんなふうに感じたときは、迷わずお電話ください。
当院の救急診療について、詳しくは下記をご覧ください。
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