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スタッフブログ

犬や猫が急に歩けなくなったら|脊髄腫瘍の検査と治療の選択肢

2026.03.26

「歩き方が少し変かも」「足がもつれるようになった気がする」愛犬・愛猫のこんな小さな変化に、ふと不安になったことはありませんか。
最初は一時的な疲れや年齢のせいに見えても、日を追うごとにふらつきが増えたり、つまずきが多くなったりして、やがて「立てない」「歩けない」といった状態に進むこともあります。

歩けない原因は、関節や椎間板のトラブルなどさまざまですが、なかには脊髄という神経の通り道に異常が起きているケースもあります。とくに脊髄に腫瘍ができると、神経が圧迫され、足の動きや感覚だけでなく、排尿・排便に影響が出ることがあります。

この記事では、脊髄腫瘍とはどんな病気か、検査で何が分かるのか、そして治療やケアの選択肢を分かりやすく解説します。

■目次
1.脊髄腫瘍とは
2.脊髄腫瘍の主な分類(できる場所による違い)
3.よくある症状と、見逃しやすい初期サイン
4.猫は症状が分かりにくいこともあります
5.早期発見が大切な理由
6.診断の流れとMRIの役割
7.治療の選択肢
8.治療後の生活と見通し(予後)について
9.まとめ

 

脊髄腫瘍とは

脊髄腫瘍は、できる場所によって症状や治療方針が変わります。まずは「脊髄」が担っている役割を確認しておきましょう。

脊髄とは

脊髄は、背骨の中を通る神経の束です。脳からの指令を体に伝え、反対に体で感じた情報を脳へ届ける役割があります。歩く・立つといった運動だけでなく、痛みや触った感覚、排尿・排便のコントロールにも関わる、とても大切な部分です。

脊髄腫瘍とは

脊髄腫瘍は、脊髄そのもの、または脊髄の周りにできる腫瘍の総称です。腫瘍が大きくなると脊髄を圧迫し、痛みが出たり、神経の働きが妨げられたりして、さまざまな症状が現れます。

脊髄腫瘍には、脊髄や周辺組織から発生するもの(原発性)と、ほかの臓器から広がってくるもの(転移性)があります

 

脊髄腫瘍の主な分類(できる場所による違い)

脊髄腫瘍は、できる場所によって大きく3つに分けて考えます。同じ「脊髄腫瘍」でも、場所の違いで治療方針が変わるため、画像検査で位置関係を確認することが大切です。

① 硬膜外腫瘍(脊髄の外側)
脊髄を包む膜(硬膜)の外側、つまり骨や周囲の組織にできる腫瘍です。
例としては骨肉腫、軟骨肉腫、リンパ腫、(転移性の)がんなどが挙げられます。

② 硬膜内髄外腫瘍(脊髄のすぐ外側)
硬膜の内側で、脊髄の外側にできる腫瘍です。脊髄を外から押すように成長することがあります。
例として髄膜腫、末梢神経鞘腫などがあります。

③ 髄内腫瘍(脊髄の中)
脊髄そのものの中にできる腫瘍です。犬猫では頻度は高くありませんが、位置や性質によっては治療が難しくなることがあります。
例としてグリオーマ(星細胞腫など)、上衣腫などがあります。

 

よくある症状と、見逃しやすい初期サイン

脊髄腫瘍の症状は、腫瘍の種類や位置、大きさ、進み方によってさまざまです。初期は分かりにくく「なんとなく変」から始まることも少なくありません。

初期に見られやすいサイン

足がもつれる/ふらつく
段差や階段を嫌がる
抱っこや背中・腰に触られるのを嫌がる(痛がる)
歩き方がぎこちない、慎重になる

これらは、関節の病気や椎間板のトラブルなど、ほかの病気でも見られるため「脊髄腫瘍」とすぐに結びつかないこともあります。
椎間板ヘルニアについてはこちらで解説しています

進行すると見られる症状

後ろ足(または前足)の力が入らない/立てない
排尿・排便がうまくできない、失禁する
痛みによる行動変化(触られるのを強く嫌がる、鳴く、落ち着かない など)
腫瘍の位置によっては前足にも症状が及ぶことがある

ここまで進むと、生活の負担が一気に増えます。急に立てない・歩けない、強い痛みがありそう、排尿ができていないといった様子がある場合は、早急に動物病院を受診してください。

 

猫は症状が分かりにくいこともあります

猫は犬ほど歩き方の異常がはっきり表に出ないこともあります。
「最近あまり動かない」「高い場所に乗らなくなった」「寝ている時間が増えた」など、なんとなく元気がないように見える変化がサインになっている場合もあります。

年齢のせいと感じやすいところですが、気になる変化が続くときは早めに相談しておくと安心です。

 

早期発見が大切な理由

脊髄腫瘍は、早めに原因を整理できるほど、治療の選択肢を考えやすくなり、生活の質を保ちやすくなることがあります。
「様子を見よう」と迷う気持ちは自然ですが、歩き方や足の感覚の異常は、時間がたつほど回復に時間がかかることもあります。「いつもと違う」が続くときは、早めに受診して状況を確認しておくことが大切です。

 

診断の流れとMRIの役割

脊髄腫瘍に限らず、似た症状を示す病気はいくつもあるため、検査を重ねながら「どこに問題があるのか」「原因として何が考えられるのか」を段階的に整理していきます。

① 身体検査・神経学的検査
まずは歩き方、反射、痛みの有無、感覚の残り方などを確認し「どのあたりの神経に問題がありそうか」を見立てます。この段階で、頸(首)・背中・腰など、疑われる部位をある程度絞れます。

② 血液検査・レントゲン検査
血液検査は、全身状態(麻酔に耐えられるか、炎症の有無など)を把握するのに役立ちます。レントゲンは骨の異常の確認に向いていますが、脊髄や腫瘍そのものは写りにくいため、これだけで確定診断に至らない場合もあります。

③ MRI検査(必要に応じて)
脊髄やその周囲の状態を詳しく見るために、MRI検査が有力な選択肢になります。MRIでは、腫瘍が疑われるかどうか、位置、広がり、脊髄への圧迫の程度などを評価できます。
MRIには全身麻酔が必要なため、設備のある専門施設での検査になることが多いです。費用や移動の負担はありますが、治療方針を考えるうえで重要な情報が得られることがあります。

当院で脊髄の病気が疑われる場合は、状況に応じて専門施設をご紹介し、検査結果を共有しながら、その後の治療を一緒に考えていきます。

 

治療の選択肢

脊髄腫瘍の治療は、腫瘍の種類、できた場所、進み方、犬猫の年齢や全身状態、そして飼い主様のご希望をふまえて選びます。ここでは代表的な選択肢をご紹介します。

・薬による治療(腫瘍の種類によって)
腫瘍のタイプによっては、薬による治療(いわゆる抗がん剤治療など)が選択肢になります。体への負担が比較的少ないこともありますが、効果が期待できるかどうかは腫瘍の種類によって異なります。

・外科治療(手術)
脊髄腫瘍では、腫瘍が脊髄を強く圧迫している場合に、手術で圧迫を軽くする(腫瘍を取り除く、または小さくする)ことが選択肢になることがあります。
ただし、腫瘍が脊髄の中にできている場合や、広い範囲に広がっている場合は、安全に取り切ることが難しく、放射線治療や薬、痛みを和らげる治療が中心になることもあります。

・放射線治療
手術が難しい場合でも、放射線治療で腫瘍の進行を抑えたり、症状を軽くしたりできることがあります。
ただし専門施設での治療になり、複数回の通院が必要になることが多く、毎回麻酔を伴うケースもあります。費用面も含めて、現実的に継続できるかを一緒に検討します。

・症状をやわらげる治療(ステロイド・鎮痛など)
腫瘍そのものを小さくする目的ではなく、圧迫や炎症を抑え、痛みや歩きづらさを軽くするために、ステロイドや鎮痛薬を使うことがあります。
「まずはつらさを減らしたい」「積極的な治療が難しい」といった場面でも、重要な選択肢になります。

・緩和ケア(痛みを減らして、その子らしく過ごす)
高齢や持病がある場合、腫瘍の進行が進んでいる場合などは「治す」ことよりも、苦痛をできるだけ減らし、穏やかに過ごすことを優先する選択もあります。
緩和ケアは決して「何もしない」ことではありません。その子らしい時間を守るために、痛みの管理や暮らしの工夫を組み合わせて支えていく、大切な治療方針です。

緩和ケアでは、たとえば以下のような支え方があります。

痛みや炎症を和らげる薬
移動のサポート(ハーネス、介助具など)
床ずれ予防(体位変換、寝床の工夫)
排泄のサポート(おむつ、圧迫排尿の指導など)
食事・水分の取り方の工夫

当院では、ご家族が愛犬・愛猫と過ごす時間を大切にしながら、できる限り快適に過ごせるようサポートします。

 

治療後の生活と見通し(予後)について

脊髄腫瘍の見通しは、腫瘍の種類、治療法、発見時の進行度によって大きく変わります。
治療の目的は「完治」だけではなく、痛みを減らし、できるだけ歩ける・生活しやすい時間を増やすことになる場合もあります。

治療を開始した後も、症状の変化を見ながら方針を調整していくことが大切です。ご家庭では、歩き方やふらつき、食欲や元気、排泄が自力でできているか、触られるのを嫌がるなどの痛みのサインがないかを、無理のない範囲で見守ってください

気になることがあれば早めに相談することで、負担を増やさずに対応できることがあります。

 

まとめ

脊髄腫瘍は、歩行や排泄に関わる神経に影響を与える可能性がある病気です。症状が似ている病気も多いため、まずは検査で「どこに問題がありそうか」「原因として何が考えられるか」を整理することが大切になります。

治療は、腫瘍の種類や位置、年齢・全身状態、ご家庭の事情によって選択肢が変わります。完治が難しいケースもありますが、適切な治療やケアによって、痛みを軽くし、少しでも快適に過ごせる時間を支えることは可能です。緩和ケアも「諦め」ではなく、その子らしく穏やかに過ごすための大切な選択肢のひとつです。

「ふらつく」「足がもつれる」「急に立てない」「排尿がうまくできない」など、気になる変化があれば、どうぞ早めにご相談ください。

 

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