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猫の関節リウマチ・免疫介在性関節炎とは?|診断からステロイド・免疫抑制薬・ソレンシアまで

2026.05.25

「最近、ジャンプをしなくなった」「歩き方がぎこちない気がする」猫と暮らしていると、このような小さな変化に気づくことがあります。

猫は痛みや不調を隠す傾向があるため、関節に違和感や痛みがあっても、はっきりした異常としてではなく、寝ている時間が増える、毛づくろいが減るといった日常のささいな変化として現れることがあります。

こうした変化の背景には、加齢に伴う変形性関節症が隠れていることもあります。一方で、体の免疫が自分の関節に反応して炎症を起こす「免疫介在性関節炎」が関係している場合もあります。

免疫介在性関節炎にはいくつかのタイプがあり、その中でも関節の破壊を伴うタイプは、人の関節リウマチに似た性質を持つことがあります。そのため、猫の関節リウマチ様疾患として説明されることもあります。

今回は、猫の関節リウマチ・免疫介在性関節炎について、症状の気づき方、診断の流れ、治療の考え方、ご自宅でできるサポートまでをわかりやすくご紹介します。

■目次
1.猫の関節リウマチ・免疫介在性関節炎とは?
2.変形性関節症とは何が違う?
3.こんな変化が続いたら要注意
4.診断の流れ
5.治療方法
6.長く付き合うための通院とモニタリング
7.おうちでできるサポート
8.まとめ

 

猫の関節リウマチ・免疫介在性関節炎とは?

免疫介在性関節炎とは、本来は体を守るはずの免疫が、何らかの原因で自分の関節に反応してしまい、関節に炎症を起こす病気です。

免疫介在性関節炎には、大きく分けて、関節の破壊を伴う「びらん性」と、関節の破壊を伴わない「非びらん性」があります
このうち、人の関節リウマチに近い性質を持つのは、主にびらん性のタイプです。

関節に炎症が起こると、痛みや腫れ、こわばりが出て、足を動かしにくくなります。そのため、猫では「歩き方がぎこちない」「ジャンプを避ける」「高い場所に登らない」といった行動の変化として現れることがあります。

また、炎症が長く続くと、関節の動かしにくさが慢性化したり、関節の形に影響が出たりすることもあります

特に、複数の関節に痛みが出る、良い日と悪い日を繰り返す、元気や食欲の低下を伴うといった場合には、免疫介在性関節炎も原因のひとつとして考える必要があります。

 

変形性関節症とは何が違う?

猫の関節の病気として比較的よく知られているのが、変形性関節症です。

変形性関節症は、加齢や体重の負担、過去のケガ、関節への長年の負荷などによって、関節のクッションの役割をする軟骨がすり減ったり、関節の形が変わったりして痛みが出る病気です。

一方で、免疫介在性関節炎は「免疫の誤作動による炎症」が中心です。

簡単に言うと、変形性関節症は「年齢や負担の積み重ねで関節が傷んでいく病気」、免疫介在性関節炎は「免疫が自分の関節を攻撃して炎症を起こす病気」と考えると分かりやすいでしょう。

ただし、症状だけでどちらかを判断することはできません。
歩き方の変化やジャンプの減少など、見た目のサインは似ていることもあるため、診察や検査を通して原因を見極めていくことが大切です。

変形性関節症についてはこちらでも解説しています

 

こんな変化が続いたら要注意

猫の関節の痛みは、分かりやすい「足の異常」として出るとは限りません。飼い主様が気づきやすい変化としては、次のようなものがあります。

高い場所へ登らなくなった
ジャンプの前にためらうようになった
階段や段差を避ける
歩き方がぎこちない
足をかばうように歩く
寝ている時間が増えた
毛づくろいが減り、毛並みがぼさぼさしてきた
なでると怒る場所がある
抱っこを嫌がるようになった
元気や食欲が落ちている

ただし、これらの症状だけで免疫介在性関節炎と決めつけることはできません。似た症状を起こす病気もあるため、気になる変化が続くときは早めに動物病院へ相談しましょう。

 

診断の流れ

免疫介在性関節炎の診断では、関節に痛みがあるかだけでなく、なぜ炎症が起きているのかを調べていきます。

🔶 問診と身体検査
まず大切なのが、飼い主様からのお話です。
猫は診察室では緊張して普段どおりに動かないこともあるため、おうちでの様子が大きな手がかりになります。いつから動きが変わったのか、どんな動作を嫌がるのか、食欲や元気に変化があるのかなどを確認します。

身体検査では、関節の腫れや痛み、曲げ伸ばしの違和感がないかを見ていきます。免疫介在性関節炎では複数の関節に症状が出ることもあるため、全身の関節を確認します。

🔶 画像検査・血液検査
レントゲン検査では、骨や関節の形に異常がないかを確認します。血液検査では、炎症の有無や内臓の状態を調べます。

🔶 関節液検査
特に重要なのが関節液検査です。関節の中の液体を調べることで、炎症の程度や細胞の変化、細菌感染の可能性などを確認します。
感染性関節炎との区別にも役立つため、診断のうえで大切な検査です。

 

治療方法

免疫介在性関節炎の治療では、免疫の異常な反応を抑えることと、関節の痛みをやわらげることの両方を考えます。

🔶 ステロイド
ステロイドは、過剰な免疫反応や炎症を抑えるために使われる薬です。
免疫介在性関節炎では、関節に起きている炎症を落ち着かせる目的で使用することがあります。

🔶 免疫抑制薬
ステロイドだけでは十分にコントロールできない場合や、ステロイドの量を減らしたい場合には、免疫抑制薬を併用することがあります。

免疫の過剰な反応を抑える薬ですが、効果が出るまでに時間がかかることもあります。また、感染症や内臓への負担にも注意が必要なため、定期的な血液検査を行いながら安全に治療を続けていきます。

🔶 ソレンシア
ソレンシアは、猫の変形性関節症による痛みの管理に使われる注射薬です。
ただし、免疫介在性関節炎そのものの原因である「免疫の異常」を治す薬ではありません。

そのため、免疫介在性関節炎では、まずステロイドや免疫抑制薬で炎症や免疫反応を抑える治療が中心になります。
そのうえで、関節の痛みが強い場合や、変形性関節症の痛みも重なっていると考えられる場合に、痛みをやわらげる選択肢として検討することがあります。

 

長く付き合うための通院とモニタリング

免疫介在性関節炎は、症状を抑えながら上手に付き合っていくタイプの病気です。

治療を始めて動きが良くなると、飼い主様としては「もう大丈夫かな」と感じるかもしれません。しかし、症状が落ち着いている時期こそ、薬の量を調整したり、体への負担を確認したりする大切なタイミングです。

通院では、歩き方や関節の痛み、食欲や元気、体重の変化、薬の副作用が出ていないかなどを確認します。ステロイドや免疫抑制薬を使っている場合は、血液検査で肝臓、腎臓、血糖値などもチェックします。

症状が安定しているときは、薬を減らせるチャンスでもあります。できるだけ少ない薬で良い状態を保てるように、猫の様子を見ながら治療プランを調整していきます。

 

おうちでできるサポート

免疫介在性関節炎の治療では、病院での検査や薬だけでなく、おうちでの環境づくりも大切です。

関節に痛みがある猫にとって、毎日の小さな動作が負担になることがあります。次のような工夫を取り入れてみましょう。

ソファやベッドにステップを置く
床に滑りにくいマットを敷く
トイレは入り口の低いものにする
よく過ごす場所の近くにトイレや水飲み場を置く
無理に高い場所へジャンプしなくてよい環境にする

また、体重管理も大切です。体重が増えると関節への負担が大きくなります。特にステロイド治療中は食欲が増えたり、太りやすくなったりすることがあるため、食事量や体重の変化を確認しましょう。

日々の様子を簡単にメモしておくこともおすすめです。「今日は動きが重そう」「撫でると右後ろ足を嫌がった」「ジャンプをためらっていた」このような小さな記録が、診察時にとても役立ちます。

 

まとめ

猫の免疫介在性関節炎は、免疫の異常によって関節に痛みや炎症が起こる病気です。

ジャンプしない、歩き方がぎこちない、触ると怒る、毛づくろいが減ったなどの変化が続く場合は、関節の痛みが関係しているかもしれません。

猫の関節炎にはいくつかの原因があるため、診察や検査で原因を確認し、その子に合った治療を選ぶことが大切です。

適切な診断と治療、自宅での環境づくりによって、痛みを和らげ、その子らしい生活を守ることにつながります。気になる変化があるときは、早めに動物病院へ相談しましょう。

 

◼︎関連する記事はこちら
猫が高いところに登らないのはなぜ?|関節の不調サインと家庭でできる対策

 

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