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2026.04.23
「前足の足首みたいなところが少し曲がって見える」「後ろ足の関節まわりが腫れている気がする」「びっこまではいかないけれど、歩き方がいつもと違う」
このような変化があると、飼い主様は「少しひねっただけかも」「そのうち良くなるかな」と迷われることが多いと思います。実際、犬の足の違和感は軽いねんざのように見えることもあり、初めははっきりしないこともあります。
ただ、足首にあたる関節の異常は、靭帯の損傷、骨折、関節の変形、加齢に伴う関節炎、まれに腫瘍などが関係していることがあります。こうした異常は、早い段階では「少し歩き方が変」「触ると嫌がる」程度でも、放置すると関節の不安定さや痛みが進み、歩きにくさが強くなることがあります。関節の外傷では、痛み、腫れ、関節の不安定さ、変形などがみられ、成長期の骨端線に関わるけがでは変形や脚の長さの差につながることもあります。 
この記事では、犬の手根関節と足根関節がどんな役割をしているのか、この部位に起こりやすい病気やけが、手術後や日常生活でのケアについて解説します。
■目次
1.足根関節・手根関節とは?
2.この部位に起こりやすい病気・けがとは
3.よくある症状と「気づき方」のコツ
4.こんなときは早め、または急いで受診を
5.診断方法と治療方針の立て方
6.保存療法で様子を見られるケースとは
7.手術が必要になるケースとは
8.術後の管理とリハビリ
9.日常でできる予防のポイント
10.まとめ
足根関節と手根関節は、犬の足でいう「足首」にあたる部分です。
・足根関節:後ろ足の足首にあたる関節
・手根関節:前足の足首にあたる関節
人の感覚だと見落としやすいのですが、犬は四つ足で体を支えているため、この部分には日常的に大きな負担がかかっています。歩くだけでなく、ジャンプ、着地、方向転換、急停止などの動きでも重要な働きをしています。
特に足根関節や手根関節は、単純に曲げ伸ばしするだけの関節ではありません。複数の小さな骨や靭帯が組み合わさってできており、衝撃を吸収しながら体を支えています。
そのため、次のような犬では負担がかかりやすくなります。
・活発で走る・跳ぶ機会が多い犬
・段差の上り下りが多い生活をしている犬
・体重が重めの犬
・成長期の子犬
・加齢によって関節や筋力が弱ってきたシニア犬
一見小さな部位に見えても、毎日の動きを支える要となる関節だからこそ、異常が起こると歩き方や姿勢に変化が出やすいのです。
足根関節や手根関節の異常には、急に起こるケガもあれば、少しずつ進行する病気もあります。
🔶 靭帯の損傷や脱臼による関節の不安定
関節は、骨同士をつなぐ「靭帯」によって安定しています。この靭帯が切れたり大きく傷んだりすると、関節がぐらついてしまい、うまく体重をかけられなくなります。これを関節の不安定と呼びます。
たとえば、散歩中に足をひねった、段差から飛び降りたあと急に足をつかなくなった、といったケースでは、靭帯の損傷や脱臼が起きていることがあります。見た目には「ちょっとした捻挫」に見えても、関節の支えが壊れている場合は、適切な固定や手術が必要になることがあります。
🔶 骨折や成長期の骨のトラブル
交通事故や高い場所からの転落、強い衝撃などでは、関節の近くの骨が折れることがあります。関節の中まで骨折線が及ぶと、関節の動きに大きな影響が出やすく、治療後も慎重な管理が必要です。
また、子犬では骨の端にある「成長板」と呼ばれる部分が傷つくことがあります。成長板は骨が伸びるために大切な場所なので、ここにダメージが加わると、足の曲がり方や長さに影響が出ることがあります。
🔶 変形性関節症
年齢を重ねた犬では、関節の軟骨がすり減ったり、炎症が繰り返されたりすることで、関節が少しずつ変形していくことがあります。これが変形性関節症です。
最初は「朝だけ少し歩きづらそう」「散歩の後半になると足取りが重い」程度でも、進行すると痛みが強くなり、段差を嫌がったり、活動量が落ちたりすることがあります。
🔶 炎症や感染、腫瘍による腫れ
足首まわりの腫れは、ケガだけが原因とは限りません。関節周囲の炎症や感染、まれに腫瘍によって腫れや痛みが出ることもあります。
触ると熱を持っている、短期間で急に腫れてきた、元気や食欲まで落ちているという場合は、単なるケガだけではない可能性も考えられます。
🔶 手術後や外傷後の変形・癒合不全
過去に骨折や関節のケガをしている犬では、治ったあとに骨のつき方にずれが残ったり、関節の動きが不安定なままになったりすることがあります。その結果、時間がたってから腫れや歩き方の異常が目立つようになることもあります。
足根関節や手根関節の異常は、最初から激しい症状が出るとは限りません。だからこそ、日常の小さな変化に気づくことが大切です。
たとえば、次のような様子は見逃したくないサインです。
🔶 歩き方が左右で違う
片方の足だけ着き方が浅い、走るときにリズムがずれる、座ったあと立ち上がる動きがぎこちないといった変化は、関節の痛みや不安定さのサインかもしれません。
🔶 立ち方・座り方・伏せ方がいつもと違う
伏せるのをためらう、座り方がいつもと違う、段差を嫌がるといった行動の変化にも注意が必要です。足首の関節に痛みがあると、体勢を変える動きの中で負担がかかるため、日常のしぐさに異変が出やすくなります。
🔶 腫れ、熱っぽさ、触られるのを嫌がる
関節まわりの腫れ、熱っぽさ、触られるのを嫌がるといった反応がある場合は、炎症やケガが進んでいる可能性があります。足先だけでなく、足首の少し上まで左右を見比べてみると、腫れに気づきやすくなります。
飼い主様がご自宅で確認するときは、無理に強く触らないことが大切です。痛みが強いと嫌がって暴れたり、かえって悪化したりすることがあります。「何となく変」「昨日までと違う」と感じたときは早めの受診が安心です。
次のような症状がある場合は、様子見をせず、できるだけ早めの受診が必要です。
・足をまったく地面につけない
・急に強い痛みを示した
・関節が大きく腫れている
・足の向きや形が明らかにおかしい
・事故や転落のあとから異常がある
・元気消失、食欲低下を伴っている
特に、急な強い痛み+腫れ+歩けないという組み合わせは、骨折や脱臼、重度の靭帯損傷などの可能性もあります。無理に歩かせず、なるべく安静にして受診してください。
足根関節・手根関節の異常で「どこが、どの程度傷んでいるのか」を見極めることがとても重要です。見た目が似ていても、安静で改善するケースと、手術が必要なケースでは対応が大きく異なります。
🔶 触診と歩き方の確認
まずは、腫れの場所、熱感、痛みの程度、関節のぐらつきの有無などを丁寧に確認します。あわせて、実際の歩き方や足のつき方も観察し、どの動きで負担が出ているかを見ていきます。
🔶 レントゲン検査
骨折や脱臼、骨の変形、関節のすき間の異常などを確認するために行います。骨の状態を把握するうえで基本となる検査です。
🔶 CTなどの詳しい画像検査
骨の複雑な変化や、手術が必要かどうかをより詳しく判断したい場合には、CTなどの精密な画像検査が役立つことがあります。関節まわりは小さな骨が重なっているため、通常のレントゲンだけではわかりにくいこともあるためです。
🔶 関節の安定性評価
必要に応じて、関節にやさしく力をかけて、どの方向に不安定なのかを調べることがあります。これによって、靭帯の損傷や関節の支えの弱さがわかる場合があります。
すべての症例で手術が必要になるわけではありません。軽度の損傷や炎症では、まず保存療法を行うことがあります。
主な方法は次のとおりです。
・安静にする
・痛み止めや炎症を抑える治療
・体重管理
・サポーターや包帯による補助
・床材や生活環境の見直し
ただし、保存療法が向いているかどうかは「関節が安定しているか」が大きな判断ポイントです。見た目の腫れが軽くても、関節が不安定なままだと改善しにくく、かえって悪化することもあります。
手術を考える代表的なケースは、関節がしっかり支えられていない場合です。
🔶 関節が大きくぐらついている場合
靭帯が大きく傷んでいて、関節の安定が保てない場合は、手術が必要になることがあります。関節が不安定なままだと、歩くたびに小さなダメージが積み重なり、痛みや変形が進みやすくなるためです。
🔶 骨折や骨のずれがある場合
骨折や脱臼、骨の形の大きな異常がある場合には、元の位置関係をできるだけ整え、安定させる治療が必要になります。
🔶 関節固定術が選択されることも
関節の損傷が強く、元どおりの動きを保つのが難しい場合には、関節固定術が選択肢になることがあります。これは、関節をプレートやピンなどで固定し、痛みの原因となる不安定さをなくす手術です。
主に足根関節で行われることがあり、手根関節でも状態によって検討されます。
「関節を固定するとかわいそう」と感じる飼い主様もいらっしゃいますが、痛みが続く不安定な関節をそのままにするより、安定して歩ける状態を目指したほうが、結果として生活の質の改善につながる場合があります。
もちろん、犬の年齢、体格、生活スタイル、活動量、ほかの病気の有無なども含めて、負担とメリットを慎重に見極めたうえで治療方針を考えていきます。
手術が終わった後は、そこからが本当の回復のスタートです。
特に関節固定術のように骨がしっかり安定するまで時間がかかる手術では、術後管理が結果を大きく左右します。
手術内容によって入院日数は異なりますが、退院後しばらくは安静が必要です。元気がある犬ほど動いてしまいやすいため、
・ケージやサークルでの管理
・ジャンプや階段を避ける
・散歩は短時間から始める
・指示された再診日を守る
といった点がとても重要です。
回復の段階に応じて、無理のない範囲で歩行訓練を行うことがあります。また、ご自宅では次のような工夫が役立ちます。
・フローリングに滑り止めマットを敷く
・ソファやベッドの段差を減らす
・体重を適正に保つ
・無理な運動を避ける
必要に応じて、サポーターや装具を使って負担を減らすこともあります。
関節の病気やケガは、痛みが落ち着いたあとも長期的なフォローが大切です。再発予防だけでなく、ほかの足に負担が偏っていないか、関節の変形が進んでいないかなども確認しながら、その子に合った生活を整えていきます。
足根関節・手根関節のトラブルをすべて防げるわけではありませんが、日頃の工夫で負担を減らせることは多くあります。
・体重を増やしすぎない
・フローリングの滑り対策をする
・高い場所からの飛び降りを減らす
・爪や足裏の毛を整えて滑りにくくする
・急な激しい運動を避ける
・小さな歩き方の変化を見逃さない
特に「少し変かな?」という段階で気づけるかどうかが、その後の回復に影響することもあります。毎日見ている飼い主様だからこそわかる変化は、診断の大切な手がかりになります。
犬の足根関節や手根関節の異常は、足の腫れや歩き方の違和感として現れることがあります。軽いケガに見えても、靭帯の損傷や骨折、関節の不安定さが隠れている場合もあるため注意が必要です。
特に、足をつけない、強く痛がる、腫れが続くといった症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。気になる変化があれば、無理に様子を見続けず、できるだけ早くご相談ください。
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