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2026.05.25
「最近、足腰が細くなってきた気がする」「歩き方がなんとなくフラフラしている」愛犬や愛猫のそんな姿を見て「もう年だから仕方ないかな」と諦めてはいませんか?
実は、筋肉が落ちる原因は加齢だけではありません。
中には「筋炎」や「筋萎縮」といった、適切な治療が必要な病気が隠れていることがあります。これらは放置すると歩く・立つ・食べるといった日常動作に影響が出ることもあります。
そこで今回は、犬と猫の筋肉に起こる異変のサインと、その治療法について分かりやすく解説します。
■目次
1.犬猫の“筋萎縮”ってなに?加齢とは違う病的変化
2.筋炎とは?「多発性筋炎」や「咀嚼筋炎」に注意
3.気づきやすい初期症状とは?
4.診断の流れ
5.筋炎・筋萎縮の治療方法と注意点
6.リハビリテーションの重要性|筋肉は戻せる?
7.まとめ
「筋萎縮」とは、何らかの原因で筋肉のボリュームが減り、力が入らなくなったり動作に支障が出たりする状態を指します。
背景には、筋炎、神経疾患、関節の痛み、内臓疾患、栄養不足、長期間の運動不足など、さまざまな原因があります。
・犬の場合:高齢期に多く見られ、特にお尻まわりや後ろ足の筋肉が落ち、腰が沈むような歩き方になります。
・猫の場合:被毛に覆われているため非常に分かりにくいですが「背骨がゴツゴツ触れるようになった」「抱っこした時に以前より軽く、体が薄く感じる」といった違和感から気づくことが多いです。
シニア期に入ると自然に筋肉は落ちていきますが、病的な「筋萎縮」は、年齢から想像する以上のスピードで痩せたり、特定の場所だけが極端に細くなったりするのが特徴です。
筋肉そのものが炎症を起こす病気を「筋炎」と呼びます。
筋炎の原因にはいくつかあり、犬や猫では、免疫システムが自分の筋肉に反応してしまう「免疫介在性」のものが見られることがあります。
一方で、ウイルスや細菌、寄生虫などの感染が関係して筋炎が起こる場合もあります。
そのため「筋肉に炎症があるか」だけでなく、何が原因で炎症が起きているのかを調べることが大切です。
🔶 多発性筋炎(犬に多い)
全身の筋肉に炎症が起こります。歩き方がおかしくなるだけでなく、喉の筋肉が影響を受けると「飲み込みにくそうにする(嚥下困難)」こともあります。
🔶 咀嚼筋炎
食べ物を噛むための筋肉(こめかみや頬の筋肉)だけに炎症が起こります。口が開きにくくなったり、痛みでごはんを食べられなくなったりします。
猫では稀な疾患ですが、慢性腎臓病による低カリウム血症や、他の病気に伴って筋肉にトラブルが出るケースが見られます。
筋肉の病気は、痛みよりも「動きの違和感」として現れることがよくあります。特に次のような変化が続く場合は注意しましょう。
・歩行のふらつき:足がもつれる、つまずきやすい。
・段差を嫌がる:階段やソファへのジャンプを避けるようになった。
・食事の異変:食べるのが遅い、口を大きく開けられない。
・抱き上げた時の違和感:以前より体がフニャフニャしている、または抱っこを嫌がる。
・活動量の低下:寝てばかりいる。散歩ですぐに帰りたがる。
これらを「年のせい」で片付けず「筋肉の異常かもしれない」という視点を持つことが早期発見の鍵です。
筋肉の問題なのか、あるいは関節や神経の問題なのかを切り分けるために、以下の検査を行います。
🔶 問診と身体検査
まずは、いつから変化が出たのか、どの動作が苦手になったのか、食欲や元気に変化があるのかを確認します。
可能であれば、ご自宅で歩いている様子や階段の上り下り、食事中の動画を撮っておくと診察時に役立ちます。
🔶 血液検査
筋肉が壊れた時に漏れ出す酵素(CPKやAST)の数値を測定し、炎症の有無を確認します。
🔶 画像検査
レントゲン検査では、骨や関節に異常がないかを確認します。
筋肉そのものの炎症はレントゲンだけでは分かりにくいことがありますが、関節疾患や骨の異常、外傷などを見分けるために役立ちます。
🔶 電気生理学的検査
筋電図などを用いて、神経から筋肉へ正しく指令が伝わっているかを評価します。
🔶 筋生検
筋肉の組織を一部採取して顕微鏡で調べる検査です。原因を特定し、最適な薬を選ぶために非常に重要なステップです。
診断結果に基づき、原因に応じた治療と筋肉のサポートを行います。
筋炎が免疫介在性なのか、感染など別の原因が関係しているのかによって、必要な治療は変わります。
自分の免疫が筋肉に反応して炎症を起こしている場合は、ステロイド療法(プレドニゾロンなど)で炎症と過剰な免疫反応を抑えるのが基本です。
状態により、他の免疫抑制剤を併用することもあります。
ステロイドは効果が期待できる一方で、食欲増加や多飲多尿、肝数値の上昇などの副作用が出やすいため、定期的な血液検査でモニタリングしながら慎重に量を調整します。
落ちてしまった筋肉を補うためには、食事の工夫も欠かせません。
🔶 高タンパクな食事
筋肉の材料となる良質なタンパク質を摂取します(持病がある場合は獣医師の指示に従ってください)。
🔶 サプリメント
BCAA(分岐鎖アミノ酸)など、筋肉の合成を助ける栄養素を取り入れることもあります。
筋肉は、原因に合った治療と適切なリハビリによって、ある程度の回復や維持が期待できることがあります。
ただし、急に運動量を増やすと、痛みや炎症を悪化させる可能性があります。特に筋炎では、炎症が強い時期に無理な運動をさせることは避けなければなりません。
病状が落ち着いてきたら、次のような方法を検討します。
🔶 物理療法・運動療法
水中トレッドミルやバランスボール、軽いストレッチなどを組み合わせ、筋肉の柔軟性と筋力を維持します。
🔶 自宅でのケア
足先を優しくマッサージしたり、関節をゆっくり曲げ伸ばししたりするだけでも、血流が良くなり萎縮の進行を遅らせることができます。
ただし、自己判断で行うとかえって負担になる場合もあるため、始める前には必ず獣医師に相談しましょう。
🔶 環境整備
滑りにくい床材に変える、段差をなくすなど、筋肉への過度な負荷を避けつつ「自分で動ける環境」を作ってあげましょう。
大切なのは「休ませること」と「動かすこと」のバランスです。炎症や痛みが強い時期は安静を優先し、状態が落ち着いてきたら、少しずつ筋肉を使う機会を増やしていきます。
犬や猫の筋肉が落ちる原因は、加齢だけとは限りません。
歩き方のふらつき、階段やジャンプを嫌がる、抱っこしたときに体が軽く感じる、ごはんを食べにくそうにするなどの変化は、筋炎や筋萎縮のサインである可能性があります。
筋炎や筋萎縮は、早期に原因を見つけて治療を始めることで、症状の悪化を防ぎ、生活の質を保ちやすくなります。
「年のせい」と決めつけず、日常の中で気になる変化があれば、動物病院で相談してみましょう。
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