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スタッフブログ

愛犬が足をかばう時の病気と対策|整形外科疾患の判断ポイント

2025.10.01

「さっきまで元気に走っていたのに、急に片足を上げて歩き出した」「足をかばうような動きが気になるけど、様子を見ても大丈夫かな…?」そんな愛犬の変化に、戸惑いや不安を感じたことはありませんか?

犬が足を挙げて歩くとき、多くの場合、何かしらの“痛み”が関係しています。そしてその痛みの背景には、骨や関節、靭帯、筋肉といった整形外科的なトラブルが隠れていることも少なくありません。

放っておくと症状が進行してしまうケースもあるため、「いつもと違う」と感じたときに適切な対処ができるかどうかが大切です。

そこで今回は、犬が片足をかばうときに考えられる整形外科疾患について、部位別・犬種別にわかりやすくご紹介し、ご家庭でできる観察のポイントや初期対応、病院での治療の流れまで詳しく解説します。

■目次
1.片足をかばう行動から読み取る整形外科疾患
2.部位別の見極めポイントと確認方法
3.症状の緊急度判断と初期対応
4.整形外科専門の視点から見た治療選択肢
5.まとめ

 

片足をかばう行動から読み取る整形外科疾患

犬が足を上げるような動作を見せるとき、主に骨、関節、筋肉、靭帯といった運動器に異常があることが考えられます。ここでは部位別に、よく見られる疾患をご紹介します。

 

〈前足をかばう場合に考えられる疾患〉

肘関節形成不全(大型犬に多い)
肘を構成する骨の成長がアンバランスになり、関節内に炎症や痛みを引き起こす病気です。ラブラドール・レトリーバーやバーニーズ・マウンテンドッグなどの大型犬で多く見られ、成長期の6か月〜1歳前後に症状が出ることが一般的です。慢性化すると関節炎へと進行し、歩行異常や足をかばう様子が続くようになります。

上腕骨骨折
高い場所からの落下や交通事故などの外傷で起こります。前足をまったく地面につけなくなるのが典型的な症状で、骨折部位に腫れや強い痛みが現れることが多いです。早急な整復・固定が必要です。

骨折についてはこちらで解説しています

肩関節の靱帯損傷・関節炎
ボール遊びやジャンプなどの運動中に肩に強い負荷がかかり、靱帯が伸びたり炎症を起こしたりすることがあります。肩を庇うような歩き方や、動き始めに痛がる様子が見られる場合は、関節の慢性的な炎症が進行している可能性もあります。

橈尺骨骨折(特に小型犬)
前足の前腕部分にある橈骨と尺骨の骨折で、チワワ、トイプードル、ポメラニアンなどの小型犬に多く見られます。ベッドやソファなどの比較的低い段差からのジャンプや落下で起こることも多く、足を完全に上げて歩こうとしない、患部が腫れているなどのサインが見られます。

 

〈後足をかばう場合に考えられる疾患〉

股関節形成不全(大型犬に多い)
股関節のはまりが浅く、関節が不安定になることで炎症や痛みを引き起こす先天性の疾患です。成長期から発症することが多く、特にゴールデン・レトリーバーやジャーマン・シェパードなどの大型犬に多く見られます。悪化すると歩行困難や筋肉の萎縮が進行します。

大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス病/小型犬に多い)
大腿骨の骨頭への血流が不足し、壊死を起こす病気です。発症は4〜10か月齢の若い小型犬に多く、トイ・プードルやポメラニアン、ヨークシャー・テリアでよく見られます。初期は足を挙げる程度ですが、進行すると強い痛みで歩けなくなることもあります。

レッグペルテス病についてはこちらで解説しています

膝蓋骨脱臼(パテラ脱臼/小型犬に多い)
膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置から外れてしまう病気です。一時的に片足を跳ねるように持ち上げる歩き方が特徴で、痛みの程度や脱臼のグレードによっては常に脱臼したままの状態になることもあります。チワワ、トイ・プードル、パピヨンなどで多く見られます。

膝蓋骨脱臼についてはこちらで解説しています

前十字靭帯断裂(中~大型犬やシニア犬に多い)
膝関節の中にある靭帯が断裂し、関節が不安定になる疾患です。急に足を地面につけなくなったり、痛みから足を引きずるようになります。肥満気味の犬や高齢犬で多く、外科手術が必要になるケースも少なくありません。

足根関節や指のケガ
足をひねったことで起こる足首の捻挫や、散歩中に硬い物を踏んで骨折や出血が起こることがあります。炎症や痛みで足を浮かせたままにしたり、地面に足先をつけたがらない仕草が見られたりします。

 

〈犬種・年齢・体格ごとに多い傾向〉

・小型犬: 膝蓋骨脱臼、前肢の骨折、レッグ・ペルテス病 など
・大型犬: 股関節・肘関節形成不全、前十字靭帯断裂 など
・シニア犬: 関節炎、筋力低下による靭帯損傷、過去のケガの再発 など

 

部位別の見極めポイントと確認方法

動物病院に行く前に、愛犬の歩き方やしぐさを観察しておくことで、診断の手がかりになります。

 

〈歩き方でわかること〉

・前足をかばうときは、首が上下に動く(足を着けるときに頭が上がる)のが特徴です。
・後足をかばうときは、お尻の左右の動きが不自然になったり、腰が傾いたりすることがあります。

 

〈飼い主様ができる安全な触診方法〉

犬の飼い主ができる安全な触診方法の図解。①静かな環境で優しく触れること②関節を軽く曲げ伸ばししてみること。

1.静かな環境で犬を落ち着かせた状態で、やさしく足先から順に触っていきましょう。
※圧痛があるときは、触れた瞬間に引っ込めたり、顔をしかめたりします。
2.関節を軽く曲げ伸ばししてみて、違和感があるかどうか確認します。

ただし、痛みが強い場合は無理に触らず、嫌がった時点で中止することが大切です。無理に押さえ込んでしまうと、愛犬にとっても大きなストレスになります。

 

症状の緊急度判断と初期対応

愛犬の歩き方がおかしいとき、緊急で受診すべきか迷う飼い主様も多いはずです。以下のようなサインがあれば、すぐに動物病院を受診してください。

 

〈早急な受診が必要なサイン〉

完全に足を着けず、浮かせたまま動かない
足に明らかな腫れ、変形、出血がある
触れると強く痛がり、鳴いたり暴れたりする
歩くことを拒否し、じっとして動かない

 

〈ご自宅での初期対応(応急処置)〉

初期対応の図解:犬を安静にさせ、タオルに包んだ保冷剤で5-10分冷やす

・安静第一:無理に歩かせず、段差や階段は避けてください。
・冷やす:打撲などの腫れがある場合は、タオルで包んだ保冷剤で5〜10分ほど冷やすとよいでしょう。
・固定は基本NG:素人判断での包帯固定は逆効果になることがあるため控えましょう。

もし移動が必要な場合は、大きめのバスタオルで体を支えながら、なるべく揺れを抑えてあげてください。

 

整形外科専門の視点から見た治療選択肢

整形外科疾患の治療は、原因や重症度によって大きく異なります。

 

〈保存療法(軽度な場合)〉

消炎鎮痛薬の使用や安静の指示(ケージレスト)、サプリメントによる関節ケア、体重管理などを行うことで、症状の改善を図る保存療法が選ばれることもあります。ただし、見た目には軽く見えても内部で進行していることがあるため、定期的な経過観察が重要です。

 

〈外科治療(重度・構造的異常がある場合)〉

骨折や靭帯断裂、関節の重度の変形がある場合は、外科手術による整復・安定化が必要になります。

当院では、以下のような処置にも対応しています。

骨折に対するプレート内固定術・創外固定術
安定性を確保するための精密な固定が可能で、骨癒合をしっかりと促します。

前十字靭帯断裂に対する関節制動術(人工靭帯の埋設)
大型犬にも対応できる、強度と機能性に配慮した関節再建を行います。

レッグ・ペルテス病に対する大腿骨頭切除術
大腿骨頭が壊死してしまった場合に、痛みの原因となる骨頭を取り除き、日常生活を快適に送れるようにします。

整形外科に関する当院の症例はこちら

これらの処置については、症状の程度や年齢、体格、生活環境などを総合的に判断したうえで、飼い主様とご相談しながら方針を決定していきます。

 

〈術後のリハビリについて〉

手術後の回復を助けるためには、適切なリハビリテーションも欠かせません。関節の動きを維持するためのストレッチや、無理のない範囲での歩行練習などを行いながら、少しずつ日常生活への復帰を目指します。

ご家庭でできるケアについてもご案内いたしますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。

 

まとめ

犬が片足を上げて歩く仕草には、何らかの整形外科疾患が隠れていることがあります。痛みを我慢する子も多いため、「いつもと違う」と感じたときこそ早めの受診が大切です。

当院では、整形外科の専門的な視点から、症状の評価・治療・リハビリまで一貫してサポートを行っています。少しでも不安な様子が見られたら、お気軽にご相談ください。

 

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