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スタッフブログ

犬や猫の整形外科手術後の運動制限|段階別の活動レベルと注意点を解説

2026.06.05

愛犬や愛猫が整形外科手術を受けたあと「どのくらい安静にしたらいいの?」「いつからお散歩して大丈夫?」といったご相談をいただくことがあります。

特に、術後しばらくすると元気が戻ってくることも多いため「思ったより普通に歩けているから大丈夫そう」と感じることもあるかもしれません。しかし、見た目には元気そうに見えていても、骨や靭帯、関節の内部はまだ十分に回復していないケースもあります。

術後の過ごし方は、その後の回復や再発リスクにも関わる大切なポイントです。そこで今回は、犬や猫の整形外科手術後に必要な運動制限について、時期ごとの活動レベルや注意点をご紹介します。

■目次
1.なぜ運動制限が必要?|回復の仕組みを理解する
2.術後0〜2週|ケージレスト中心の絶対安静期
3.術後2〜6週|リード歩行での軽い運動開始
4.術後6週以降|段階的な活動拡大とリハビリ
5.やりがちなNG行動|再発・悪化の原因になるケース
6.家庭でできる環境づくりとサポート
7.受診・相談の目安|こんな変化は要注意
8.まとめ|術後の過ごし方が回復を左右します

 

なぜ運動制限が必要?|回復の仕組みを理解する

整形外科手術では、骨や関節、靭帯などを治療・修復しています。これらの組織は、手術をしたからといってすぐに元通りになるわけではなく、時間をかけながら少しずつ回復していくものです。

そのため、術後早い段階で過度な運動をしてしまうと、次のようなトラブルにつながることがあります。

骨の固定がずれる
靭帯や関節に再び負担がかかる
炎症や痛みが悪化する
回復が遅れる

一方で、必要以上にまったく動かさない状態が長く続くと、筋力低下や関節の動きの悪化につながることもあります。

そのため、整形外科手術後は「完全安静を続ける」のではなく、回復段階に合わせて少しずつ活動量を調整していくことが重要です。

 

術後0〜2週|ケージレスト中心の絶対安静期

術後の早い時期は、傷口や手術部位を安定させるための非常に大切な期間です。この時期は、基本的にケージやサークル内で過ごし、必要最小限の移動にとどめましょう。

食事やトイレ以外ではなるべく安静を保ち、以下のような動きは避ける必要があります。

ソファやベッドへの飛び乗り
階段の上り下り
室内での急な走り出し
フローリングで滑る動き

特に犬では「少し元気が出てきた頃」に急に動いてしまうケースが多いため注意が必要です。

注意したいポイント

術後は傷口を気にして舐めてしまうことがあります。傷口の炎症や感染を防ぐため、エリザベスカラーや術後服を適切に使用しましょう。

また、安静期間中はストレスが溜まりやすくなるため、

優しく声をかける
落ち着ける環境を整える
知育トイなどを活用する

といった配慮も大切です。

猫では環境変化によるストレスが体調に影響することもあるため、静かで安心できる場所で過ごせるように工夫してあげましょう。

 

術後2〜6週|リード歩行での軽い運動開始

回復状態に問題がなければ、獣医師の判断のもとで軽い歩行運動を始めることがあります。

ただし、この段階でも自由運動はまだ避け、必ずリードでコントロールしながら短時間の歩行にとどめるようにしましょう。最初は数分程度から始め、状態を見ながら少しずつ時間を延ばしていきます。

注意したいポイント

この時期は、歩けるようになってきても、まだ無理をさせないことが大切です。

歩行中に足をかばう、歩きたがらない、動きに違和感があるといった様子が見られる場合には、無理に続けず一度休ませるようにしましょう。

また、興奮による急なダッシュやジャンプは再損傷につながることがあるため、散歩中や室内でも注意が必要です。

 

術後6週以降|段階的な活動拡大とリハビリ

術後6週以降になると、状態に応じて徐々に運動量を増やしていく段階に入ります。

ただし、回復スピードには個体差があり、手術内容によっても必要な期間は異なります。そのため、ご自身の判断で急に元の生活へ戻すのではなく、診察での確認を受けながら進めることが重要です。

状態によっては、

関節の動きを保つリハビリ
筋力維持のための運動
水中トレッドミルなどを用いたリハビリ

を行うこともあります。

注意したいポイント

術後6週を過ぎる頃になると、見た目には普段どおりに近い動きが見られる子も増えてきます。しかし、内部ではまだ修復途中の場合もあり、無理な運動によって再び状態が悪化してしまうケースもあります。

「元気そうだからもう大丈夫」と判断するのではなく、回復段階に合わせて慎重に活動量を調整していくことが大切です。

 

やりがちなNG行動|再発・悪化の原因になるケース

整形外科手術後には、何気ない日常動作が負担になることがあります。特に注意したいのは、以下のようなケースです。

🔶 元気そうだからと自由に動かしてしまう
術後に痛みが落ち着くと、犬や猫自身は普通に動こうとすることがあります。
しかし、内部の回復が追いついていない段階で動きすぎると、再発や固定不良につながる可能性があります。

🔶 フローリングで滑る環境のまま生活する
滑りやすい床は、関節や足腰への負担が大きくなります。
特に術後は踏ん張りがききにくいため、転倒や再損傷の原因になることがあります。

🔶 他の犬・猫との遊びや急な運動
多頭飼育の場合、遊びの中で急に走ったり飛びついたりしてしまうことがあります。
回復途中は思わぬ動きが大きな負担になることもあるため注意が必要です。

🔶 抱っこや移動時の支え方が不適切
特に小型犬では抱っこの機会も多いですが、脇だけを持ったり、不安定な姿勢で持ち上げたりすると関節や背骨への負担になることがあります。
術後は体全体を支えるように抱きかかえることが大切です。

 

家庭でできる環境づくりとサポート

術後の回復を支えるためには、ご自宅での環境調整も重要です。

🔶 滑り止めマットを設置する
フローリングにはマットカーペットを敷き、滑りにくい環境を整えましょう。

🔶 段差を減らす
ソファやベッドへの上り下りは関節への負担になります。
必要に応じてスロープを設置し、段差を減らしてあげると安心です。

🔶 ストレスがたまりにくいような工夫をする
安静期間中は運動不足だけでなく、精神的なストレスにも配慮が必要です。
生活スペースを落ち着いて過ごしやすい環境に整えながら、その子の様子に合わせて無理のない範囲で気分転換を取り入れていきましょう。

🔶 体重管理を意識する
体重が増えると、関節や骨への負担も大きくなります。
術後は活動量が減ることも多いため、食事量やおやつの与え方にも注意が必要です。

 

受診・相談の目安|こんな変化は要注意

術後の経過中に、次のような変化が見られた場合は早めに動物病院へ相談しましょう。

手術した足を急に使わなくなった
傷口が赤い、腫れている
血や液体が出ている
強く痛がる
動きが急に悪くなった
回復が予定より遅いように感じる

術後の異変は、早めに対応することで大きな悪化を防げることもあります。「少し気になるけれど様子を見ていいのかな」と迷う場合でも、まずはご相談いただくことが大切です。

 

まとめ|術後の過ごし方が回復を左右します

整形外科手術後の回復では、手術そのものだけでなく、その後の過ごし方も非常に重要です。過度な運動は再損傷の原因になりますが、逆に適切なタイミングで少しずつ体を動かしていくことも回復には欠かせません。

大切なのは、その子の状態や回復段階に合わせて、無理のない範囲で活動量を調整していくことです。京都北山動物病院では、整形外科手術後の経過確認や生活管理についても、状態に合わせながら丁寧にサポートしています。術後の過ごし方や運動制限について不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

◼︎関連する記事はこちら
都北山動物病院の整形外科手術|術式と術後ケアの詳細ガイド
犬・猫の整形外科手術後の在宅ケア|傷口管理と感染予防の基本を解説

 

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