スタッフブログ
2026.06.05
愛犬や愛猫が整形外科手術を受けたあと「家ではどんなことに気をつければいいの?」「傷口は毎日見た方がいい?」と不安に感じる飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
手術後の回復では、病院での治療だけでなく、ご自宅での過ごし方や傷口管理もとても重要です。特に術後の傷口は、まだ細菌感染や刺激に弱い状態です。少しのトラブルが傷の治りに影響することもあるため、毎日のケアや観察が回復を支える大切なポイントになります。
今回は、犬や猫の整形外科手術後に行いたい在宅ケアについて、傷口管理や感染予防の基本を解説します。
■目次
1.なぜ在宅ケアが重要?
2.傷口の観察ポイント|正常と異常の見分け方
3.エリザベスカラー管理
4.包帯・創部管理|交換と注意点
5.生活環境の整え方|感染・トラブルを防ぐ工夫
6.よくあるトラブルと対処法
7.受診の目安|すぐに相談すべき症状
8.まとめ|在宅ケアも回復を支える大切な治療のひとつ
整形外科手術後の傷口は、見た目には小さく見えていても、内部では組織の修復が続いている状態です。そのため、舐めたり、汚れたり、過度な負担がかかったりすると、感染や傷の開きにつながることがあります。
特に感染が起こると、
・傷の治りが遅れる
・炎症や痛みが強くなる
・再手術が必要になる
といったケースにつながるおそれもあります。
術後の回復を順調に進めるためには、病院での処置だけでなく、ご自宅でのケアも治療の一部として考えることが大切です。
術後は、毎日傷口の状態を確認することが大切です。ただし「少し赤いけど大丈夫?」「どこまでが正常?」と迷われることも少なくないかと思います。まずは、一般的な正常経過と注意したい変化を知っておきましょう。
術後数日間は、次のような様子が見られることがあります。
・軽い赤みや腫れ
・少量の血液や透明な液体がにじむ
こうした変化は、時間の経過とともに少しずつ落ち着いていくことが一般的です。
一方で、次のような変化がある場合には注意が必要です。
・強い腫れや熱感
・膿が出ている
・出血が続いている
・異臭がする
・傷口が開いている
こうした症状は、感染や傷口トラブルのサインである可能性があります。
傷口は毎日同じくらいの時間帯に確認すると、変化に気づきやすくなります。
また、触ると刺激になってしまうこともあるため、基本的には「触らず目で見る」ことを意識しましょう。
術後管理で特に重要なのが、傷口を舐めさせないことです。犬や猫は違和感やかゆみから傷口を気にしやすく、少し舐めるだけでも細菌感染や縫合不全につながることがあります。そのため、術後はエリザベスカラーなどを使用し、傷口を保護することが大切です。
エリザベスカラーは、獣医師から指示された期間は基本的に継続して装着しましょう。
特に、就寝時や留守番中など目を離すタイミングは注意が必要です。「少しだけなら大丈夫そう」と感じて外した間に傷口を舐めてしまい、赤みや腫れが悪化してしまうケースもあります。食事中などに短時間外す場合も、必ず見守れる範囲で行うことが大切です。
また、首回りや長さが合っていないと傷口に届いてしまったり、逆に強いストレスにつながったりすることがあります。サイズが合っているかもあわせて確認しておきましょう。
包帯を使用している場合には、傷口だけでなく包帯の状態も重要なチェックポイントになります。
包帯は濡れたり汚れたりすると、細菌が繁殖しやすくなります。そのため、次のような点を意識しましょう。
・水に濡らさない
・汚れたら早めに動物病院に相談する
・においや湿り気がないか確認する
特に雨の日の散歩や排泄時には注意が必要です。
「蒸れていそうだから」「気にしているから」と自己判断で包帯を外してしまうと、傷口の悪化につながることがあります。
包帯を交換するタイミングや必要性は状態によって異なるため、気になることがあれば病院へ相談しましょう。
術後は、安心して安静に過ごせる環境を整えることも大切です。
🔶 清潔で落ち着けるスペースを作る
寝床周辺は清潔を保ち、ほこりや汚れが多い場所は避けましょう。
また、術後は疲れやすくなることもあるため、静かで落ち着いて休める環境づくりも重要です。
🔶 滑りにくい床にする
フローリングは滑りやすく、術後の足腰に負担がかかります。
マットなどを敷き、転倒や踏ん張りによる負担を減らしてあげましょう。
🔶 他の犬や猫との接触に注意する
多頭飼育の場合、遊びの延長で急に走ったり接触したりしてしまうことがあります。
術後しばらくは、必要に応じて生活スペースを分けることも検討しましょう。
🔶 過度な運動を避ける
ジャンプや急な走り出しは、傷口や手術部位への負担になります。
整形外科手術後の運動制限についてはこちらで詳しく解説しています
術後の在宅ケアでは「これで大丈夫かな?」と迷われる場面もあるかと思います。特に術後しばらくは、犬や猫自身も普段と違う違和感に戸惑っていることがあるため、少しでも落ち着いて過ごせるよう工夫してあげることが大切です。
🔶 傷口を気にして落ち着かない
傷口の違和感から、頻繁に気にしてしまうことがあります。
まずはエリザベスカラーや術後服が適切に装着できているか確認しましょう。
🔶 エリザベスカラーを嫌がる
最初は歩きづらそうにしたり、動きたがらなくなったりすることがありますが、無理に外してしまうと傷口トラブルにつながる可能性があります。
食器の高さを調整したり、動きやすい環境を整えたりしながら、少しずつ慣れてもらうことが大切です。
🔶 包帯を外そうとする
違和感から包帯を気にすることがあります。そのような場合も叱るのではなく、おもちゃや声かけで気をそらしたり、安静に落ち着いて過ごせる環境を整えたりしながら様子を見てあげましょう。
どうしても外してしまう場合は、包帯の巻き方や装着方法の変更や追加対策が必要なこともあるため、病院へ相談することをおすすめします。
術後の経過中に、次のような変化が見られた場合には早めに受診を検討しましょう。
・傷口の急な腫れ
・出血や膿
・強いにおい
・元気や食欲の低下
・強い痛みがある様子
・包帯のずれや締めつけ
・足先の冷たさや腫れ
特に包帯トラブルでは、血流障害が起きていることもあります。「少し様子を見よう」と思っている間に悪化してしまうケースもあるため、気になる変化がある場合には早めに相談することが大切です。
整形外科手術後の回復では、病院での治療だけでなく、ご自宅でのケアも非常に重要です。傷口管理や感染予防、生活環境の調整を適切に行うことで、回復をよりスムーズに進めやすくなります。
また「少し気になるけれど受診するべきか迷う」という段階で相談していただくことが、結果的に大きなトラブルの予防につながることも少なくありません。
京都北山動物病院では、術後の傷口の状態確認だけでなく、ご自宅でのケア方法や生活環境についても、その子の状態に合わせながらご説明しています。「この程度なら様子を見ても大丈夫?」「カラーを嫌がってしまう」など、気になることがありましたら、まずは一度ご相談ください。
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