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2025.08.04
小さな体で元気いっぱいに走り回る小型犬たち。その愛らしい姿は、毎日の暮らしにたくさんの癒やしと笑顔を届けてくれますよね。
しかし、そんな小型犬たちの体には、見た目以上の負担がかかっていることもあるのをご存じでしょうか。
特に注意が必要なのが、骨や関節に関わる「整形外科疾患」です。
これは、体を支えたり動かしたりする部分に起きるトラブルで、小型犬で比較的よく見られる病気のひとつです。
今回は、京都市左京区の動物病院で実際に多くの小型犬を診てきた獣医師の視点から、よく見られる整形外科疾患を5つピックアップし、それぞれの特徴や症状、そして気づいたときの対処法についてわかりやすく解説していきます。
■目次
1.小型犬の整形外科疾患の特徴
2.小型犬に多い整形外科疾患TOP5
3.症状に気づいたときの対処法
4.整形外科疾患の予防とご自宅でできるケアのポイント
5.まとめ
小型犬は体が軽く、骨格も華奢で繊細なつくりをしているため、骨や関節に負担がかかりやすいという特徴があります。
一見、活発で元気いっぱいに見える小型犬ですが、実は日常の動きの中に思わぬリスクが潜んでいることも少なくありません。
例えば、ソファやベッドへの飛び乗り・飛び降り、抱っこからの着地、階段の上り下り、さらには遊びの最中のジャンプなどです。
これらの動作が日常的に繰り返されることで、関節や骨に少しずつ負担が蓄積されていくことがあります。
さらに、小型犬の中には体のバランスが崩れやすい体型の犬種も多く、元々の骨格構造が整形外科的な疾患を引き起こしやすい場合もあります。
そのため、ちょっとした段差でもケガをするリスクがあるという点には注意が必要です。
こうした生活環境や体の特徴が重なることで、小型犬では整形外科疾患の発症リスクが高くなると考えられています。
後ろ足の膝にある膝蓋骨(いわゆる膝のお皿)が、本来の位置から外れてしまう状態です。
小型犬に非常によく見られる疾患で、歩くときにスキップするような動きをする、突然後ろ足を上げて歩かなくなるなどの症状が見られます。
グレード(重症度)によっては、手術が必要となる場合もあります。
背骨の間にある椎間板というクッションのような構造が飛び出して、神経を圧迫する病気です。
背中を丸めてじっとしている、触られるのを嫌がる、歩き方がふらつくなどのサインがあり、重症になると後ろ足が麻痺してしまうこともあります。
高いところからの飛び降りや、抱っこ中の落下などによって起こることがあります。
足が地面に着かない、触ると嫌がる、腫れるといった症状が特徴です。
大腿骨の骨頭(太ももの骨の先端部分)が壊死してしまう病気です。
小型犬の成長期(生後4〜12か月ごろ)に多く見られ、足を引きずる、片足をかばって歩く、運動を嫌がるといった様子が見られます。
膝の中にある「前十字靭帯」が切れてしまい、膝関節が不安定になる疾患です。
足をかばうように歩く、後ろ足を浮かせる、階段を嫌がるなどの症状が見られ、放っておくと関節炎に進行することもあります。
小型犬の整形外科疾患は、初期の段階では軽い違和感や動きの変化として現れることが多く、見過ごされやすい傾向があります。
しかし、「いつもより歩きたがらない」「階段を上りたがらない」「抱っこされるのを嫌がる」といったちょっとした変化が、実は整形外科的なトラブルのサインであることもあります。
症状に気づいた際にまず大切なのは、無理に動かさず、できるだけ安静にさせることです。
足を引きずったり、明らかに痛がったりする場合は、抱き上げて移動させる際にも注意が必要です。患部に負担がかからないよう、全身をやさしくしっかり支えてあげてください。
また、腫れや熱を感じる場合には、冷却を行うことで炎症を一時的に和らげることが期待できます。保冷剤や氷のうをタオルで包み、痛がる様子がないか確認しながら、やさしく患部に当てるようにしましょう。
ただし、冷やすのはあくまで応急処置のひとつであり、根本的な解決にはなりません。
必ず、早めに動物病院での診察を受けるようにしましょう。
以下のような症状が見られた場合は、できるだけ早めの受診をおすすめします。
・片足を完全に浮かせて歩こうとしない
・痛みで鳴く、触られるのを嫌がる
・急に歩き方がおかしくなった
・ふらつく、立ち上がりに時間がかかる
・数日たっても症状が改善しない
「少し様子を見ようかな」というお気持ちもあるかもしれませんが、早期の対応が回復につながるケースが多くあります。
「なんだかいつもと違う」と感じたときには、どうぞお気軽にご相談ください。
整形外科疾患は、完全に防ぐことが難しい場合もありますが、日頃のちょっとしたケアや生活習慣の見直しによって、発症リスクを下げることが可能です。
ここでは、飼い主様がご自宅で気をつけてあげられるポイントをまとめました。
◆滑りやすい床への対策
フローリングなどのツルツルした床は、小型犬の足腰に負担をかけやすく、転倒や関節への負荷の原因になります。
カーペットや滑り止めマットを敷いてあげることで、足を取られにくくなり安心です。
◆段差によるケガを防ぐ
ソファやベッドなど、高い場所からの飛び降りは骨折や膝の脱臼を引き起こすことがあります。
ステップやスロープを使って、足腰にかかる衝撃を減らしましょう。
◆体重管理を意識する
小型犬では、わずかな体重の増加でも関節にかかる負担が大きくなります。
日々の食事量やおやつの量を見直し、理想体重をキープすることが大切です。
◆無理のない範囲での適度な運動
運動不足は筋力の低下を招き、関節を支える力が弱くなってしまいます。
お散歩やおうちの中での軽い遊びなど、体調に合わせた運動を毎日の習慣にしてあげましょう。
定期的に様子を観察することで、ちょっとした変化に早く気づくことができます。
以下のようなポイントをチェックしてみてください。
◆歩き方や立ち上がりに変化がないか
「足を引きずっていないか?」「立ち上がるときに時間がかかっていないか?」など、普段の動きをよく観察してみましょう。
◆立ち姿や座り方に違和感がないか
いつもと違う体勢で立っていたり、座り方が不自然だったりする場合、関節に違和感や痛みを感じている可能性があります。体をかばって重心をずらしていることもあります。
◆関節の周囲に腫れや熱っぽさがないか
足や関節を軽く触ってみて、左右で違いがないか、熱っぽさがないかを確認します。
◆触られることへの反応をチェック
足や関節を触ったときに、嫌がったり怒ったりする様子がある場合は、痛みがあるサインかもしれません。
こうしたチェックを習慣づけておくことで、整形外科的な異常を早い段階で見つけるきっかけになります。
小型犬はその愛らしさの一方で、骨や関節にトラブルが起こりやすい体のつくりをしているという特徴があります。
膝蓋骨脱臼や骨折、椎間板ヘルニアなどの整形外科疾患は、思いがけないタイミングで突然発症することもあり、日頃の観察とケアがとても大切です。
万が一、いつもと違う様子が見られたときには、無理をさせずに安静にし、できるだけ早く動物病院での診察を受けることが、回復を早め、生活の質を保つための第一歩になります。
そして何より、飼い主様の日々の気づきが、愛犬の健康を守る大きな力になります。
京都市左京区で小型犬の整形外科に関するご不安やお悩みがございましたら、どうぞお気軽に京都北山動物病院までご相談ください。
大切なご家族が、これからも元気に歩ける毎日を送れるよう、私たちがしっかりとサポートいたします。
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