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2026.08.21
愛犬の歩き方を見て、「少し足をかばっているような気がする」「以前とは歩き方が違う」と感じたことはありませんか?
歩き方の変化は、骨や関節、筋肉、神経など、体のさまざまな異常を知らせるサインである場合があります。ただし、その原因がどの部位にあるのかをご家庭で判断することは簡単ではありません。
そこで重要になるのが、動物病院で犬の歩き方や体の使い方を詳しく確認する「歩様検査(歩行検査)」です。
今回は、歩様検査ではどのような点を確認し、痛みや異常のある部位をどのように絞り込んでいくのかについて解説します。
■目次
1.歩様検査とは?
2.歩様検査では何を確認しているの?
3.歩様検査だけで診断できるの?
4.ご家庭で歩き方の変化に気づいたら
5.まとめ|歩き方は体からの大切なサインです
歩様検査とは、犬が歩くときの足の運び方や姿勢、体重のかけ方などを観察し、異常が疑われる部位を探るための診察です。「歩行検査」と呼ばれることもあります。
痛みや足の動かしにくさなどによって、通常とは異なる歩き方が見られる状態を「跛行(はこう)」と呼びますが、その表れ方は一様ではありません。
例えば、足を浮かせる、引きずる、歩幅が狭くなる、スキップするように歩くなど、原因や痛みの程度によってさまざまな変化が見られます。また、わずかな左右差や体の揺れとして表れ、飼い主様からは気づきにくいケースもあります。
歩様検査では、こうした動きを一定の視点から詳しく確認します。その結果をもとに、どの足や部位を中心に触診すべきか、神経学的検査が必要か、どの範囲を画像検査で確認するかを検討していきます。
歩様検査では、単に「歩けているかどうか」を見るわけではありません。歩く速さや方向、体の使い方を確認しながら、異常の特徴を細かく整理していきます。
犬は足に痛みがあると、その足にかかる負担を減らそうとします。足を完全に浮かせる場合もあれば、地面に着ける時間を短くする、反対側の足へ体重を移すといった変化として表れることもあります。
前足に問題が疑われる場合は頭や首の動き、後ろ足の場合は腰の揺れや骨盤の動きなども手がかりになります。こうした全身の動きを含めて確認することで、どの足をかばっているのかを探っていきます。
痛みや関節の動かしにくさがあると、片側だけ歩幅が狭くなったり、足を前へ出しにくくなったりすることがあります。
また、足先を擦る、地面から十分に持ち上げられない、足先が裏返ったまま着地する「ナックリング」が見られる場合は、神経の異常も考慮する必要があります。
整形外科疾患と神経疾患では似た歩き方になることもあるため、足の運び方だけでなく、ふらつきや姿勢の変化などもあわせて確認します。
ゆっくり歩いているときには目立たなくても、速く歩くと左右差が明確になることがあります。反対に、痛みが強い場合は、ゆっくりと慎重にしか歩けないこともあります。
まっすぐ歩くときだけでなく、方向を変えるときや狭い範囲で動くときの様子も確認し、特定の動作で症状が強くならないかを見ていきます。
歩いているときだけでなく、立っている姿勢や座り方、立ち上がる動作にも異常の手がかりがあります。
片足への体重を避けている、座る姿勢が左右非対称になっている、立ち上がるまでに時間がかかるといった変化がないかを確認します。
特に慢性的な関節疾患では、動き始めにこわばりが目立ち、しばらく動くと歩き方が変わることもあります。そのため、診察室に入ってからの動きだけでなく、待合室や屋外での自然な様子が参考になる場合もあります。
歩様検査は、痛みや異常が疑われる足や部位を絞り込むうえで重要ですが、この検査だけで病名を確定できるとは限りません。
実際の診察では、歩様検査で得られた情報をもとに、関節の動きや筋肉の状態、痛みが出る場所などを触診で確認します。神経疾患が疑われる場合には、足の反応や反射などを調べる神経学的検査も行います。
さらに、骨や関節の状態を確認する必要があればレントゲン検査を行い、症状によってはCT検査やMRI検査を検討します。
歩様検査によって異常が疑われる部位を整理しておくことで、その後に詳しく調べる場所や必要な検査を選びやすくなります。また、画像に写っている変化が、現在の歩き方や痛みと関係しているのかを考えるうえでも、実際の動きを確認することは大切です。
歩様検査、触診、神経学的検査、画像検査にはそれぞれ異なる役割があります。これらの結果を組み合わせて評価することで、原因に応じた治療方針につなげていきます。
歩き方の異常は、動物病院では見られないこともあります。緊張によって普段とは異なる歩き方になったり、症状が一時的で診察時には落ち着いていたりするためです。
ご家庭で気になる様子が見られたら、次のような点を確認しておくと診察の手がかりになります。
・いつから歩き方が変わったか
・前足と後ろ足のどちらに変化があるか
・毎回見られるのか、ときどきなのか
・散歩後や起床後など、症状が出やすい場面はあるか
・転倒やジャンプなどのきっかけがあったか
可能であれば、歩いている様子を動画に撮っておくこともおすすめです。無理のない範囲で、正面・後ろ・横など複数の方向から撮影すると、歩き方の変化を確認しやすくなります。
ただし、動画を撮るために無理に歩かせる必要はありません。足を着けない、強く痛がる、ふらつきや麻痺があるといった場合は、運動を控えて早めに動物病院へご相談ください。
歩様検査は、犬の足の運び方や姿勢、体重のかけ方などを観察し、痛みや異常が疑われる部位を絞り込むための診察です。犬の歩き方には、多くの手がかりが表れているため、実際の歩き方や体の使い方を丁寧に確認し、ほかの診察結果とあわせて評価することが大切です。
京都北山動物病院では、歩様検査や触診、必要に応じた神経学的検査・画像検査を組み合わせ、歩き方が変化した原因を総合的に調べています。「少し足をかばっているように見える」「以前より歩き方がぎこちない」など、わずかな変化でも気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
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