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2026.06.26
愛犬・愛猫が少しぽっちゃりしていても「元気そうだから大丈夫」と思われる飼い主様も多くいらっしゃるかと思います。
肥満というと、見た目の変化や寿命への影響をイメージされる方も多いかもしれません。しかし、体重の増加は関節や足腰への負担にもつながり、整形外科疾患の発症や進行に関わることがあります。
特にシニア期に入った犬や猫では、加齢による筋力低下も重なり、関節への影響がより大きくなりやすいため注意が必要です。
今回は、肥満が関節に与える影響や適正体重の考え方、ご家庭でできる体重管理のポイントについて解説します。
■目次
1.肥満は関節の大敵|体重が増えると何が起こる?
2.まずは現状チェック|愛犬・愛猫は適正体重?
3.関節を守るための体重管理|ご家庭でできること
4.自己流ダイエットで気を付けたいこと
5.動物病院でできる体重管理サポート
6.まとめ|体重管理は関節を守るための大切なケアです
犬や猫の体重が増えると、その分だけ関節や靭帯にかかる負担も大きくなります。関節は体を支えるために常に働いていますが、過剰な体重がかかり続けると関節の軟骨や周囲の組織に負担が蓄積し、炎症や痛みにつながることがあります。
また、肥満は次のようなさまざまな整形外科疾患の発症や進行にも関係すると考えられています。
・変形性関節症
・膝蓋骨脱臼(パテラ)
・前十字靭帯断裂
・股関節形成不全
・椎間板ヘルニア
さらに、関節に痛みが出ると動くことが億劫になり、運動量が減ってしまいます。すると筋力が低下し、関節を支える力が弱くなることでさらに負担が増えるという悪循環に陥ることがあります。
関節の不調は目に見えにくいこともありますが、その背景に体重の増加が関係しているケースも少なくありません。
変形性関節症についてはこちらで解説しています
膝蓋骨脱臼(パテラ)についてはこちらで解説しています
前十字靭帯断裂についてはこちらで解説しています
股関節形成不全についてはこちらで解説しています
椎間板ヘルニアについてはこちらで解説しています
犬種や猫種、骨格によって理想的な体型は異なるため、体重の数字だけで肥満かどうかを判断することはできません。体重管理を始める際には、まず今の体型を知ることが大切です。
BCS(Body Condition Score:ボディコンディションスコア)は、犬や猫の体型を評価するための指標です。
見た目や体を触った感触から体脂肪のつき方を確認し、痩せすぎから肥満までを段階的に評価します。動物病院でも広く用いられており、体重管理の目安になります。
ご家庭でも簡単に体型の目安を確認することができます。
① 肋骨の状態を確認する
胸のあたりを触ったときに、肋骨が適度に触れたら理想的な状態です。
一方で、肋骨がほとんど分からない場合は、体脂肪が多くなっている可能性があります。
② 上から見て腰のくびれを確認する
上から見たときに、腰のあたりに適度なくびれが見られるか確認してみましょう。
くびれがほとんど見られない場合は、体重が増えているサインかもしれません。
③ 横から見てお腹のラインを確認する
横から見たときに、お腹が胸よりも少し引き締まって見えるのが理想的です。
お腹が下がって見える場合は、適正体重を超えている可能性があります。
ただし、毛量の多い犬種や猫では見た目だけでは分かりにくいこともあります。ご家庭で判断に迷う場合は、動物病院でBCS評価を受けてみるとよいでしょう。
体重管理は特別なことをするのではなく、毎日の生活の積み重ねが大切です。無理なダイエットではなく、続けやすい方法を取り入れていきましょう。
体重管理の基本となるのが食事です。
まずは、おやつや間食の量を見直してみましょう。「少しだけ」の積み重ねが体重増加につながっていることも少なくありません。また、フードを目分量で与えている場合は、計量カップやキッチンスケールを使って正確に量る習慣をつけることが大切です。
ご家族が複数いる場合は「誰がどのくらい与えるか」を共有しておくと、与えすぎの防止につながります。
体重管理には運動も欠かせません。ただし「たくさん運動させればよい」というわけではなく、その子に合った運動を継続することが重要です。
特に関節に不安がある犬や猫では、急な運動や激しい運動がかえって負担になる場合もあります。年齢や体格、既往歴によって適切な運動量は異なるため、無理のない範囲で続けられる運動を取り入れましょう。
関節への負担を減らすためには、生活環境の工夫も大切です。例えば次のような対策は、関節への負担軽減につながります。
・滑りやすい床にマットを敷く
・スロープなどを設置して段差を減らす
・無理なジャンプを防ぐ
特にシニア期の犬や猫では、筋力低下により足元が不安定になることもあるため、安心して移動できる環境づくりを意識してあげましょう。
「早く体重を減らしてあげたい」と思うあまり、自己流で食事量を大きく減らしてしまうケースがあります。しかし、急激なダイエットは必ずしも健康につながるとは限りません。
食事量を大幅に減らすと体重は落ちるかもしれませんが、その過程で必要な栄養素まで不足してしまう可能性があります。
また、体重だけでなく筋肉量も減ってしまうと、関節を支える力が弱くなり、かえって関節への負担が大きくなることもあります。
関節ケアのための体重管理では「体重を減らすこと」だけでなく「筋肉を維持すること」も重要なポイントです。
適切な減量ペースは、年齢や体格、持病の有無によって異なります。特に整形外科疾患を抱えている犬や猫では、関節の状態も考慮しながら体重管理を進める必要があります。
そのため、健康的な体重管理を行うためには、獣医師と相談しながらその子に合った計画を立てることが大切です。
猫では、急激な減量や絶食によって「肝リピドーシス(脂肪肝)」という病気を発症することがあります。肝リピドーシスは、食事を十分にとれない状態が続くことで肝臓に脂肪が蓄積し、重い肝機能障害や命に関わる状態を引き起こすことがある病気です。
このようなリスクがあるため、猫のダイエットは犬以上に慎重に進める必要があります。「少し太っているから今日から食事を半分にしよう」といった方法は避け、必ず獣医師と相談しながら進めるようにしましょう。
体重管理はご家庭でも取り組めますが「今の体型が適正なのか分からない」「どのくらい食事を減らせばいいのか迷う」ということもあるかもしれません。そのような場合は、動物病院で体重管理について相談することをおすすめします。
🔶 適正体重やBCSの評価
まずは現在の体型や体重を確認し、その子にとって適切な体型を評価します。
体重の数字だけでなく、BCSや筋肉量も確認しながら総合的に判断します。
🔶 食事量や運動量のアドバイス
現在の食事内容や生活スタイルを伺いながら、無理なく続けられる体重管理の方法をご提案します。
「おやつはどのくらいまでなら大丈夫?」「散歩はどの程度が適切?」といった日常的な疑問についてもご相談いただけます。
🔶 関節の状態確認
体重管理の相談では関節や歩き方の状態もあわせて確認できます。飼い主様が気付いていなかった初期の関節トラブルが見つかることもあり、早期発見・早期対応につながる場合があります。
関節疾患は早めに気付くことで、その後の生活への影響を抑えられる可能性があります。「まだ症状はないけれど少し太り気味かも」と感じる段階でも、ぜひご相談ください。
体重管理は、見た目を整えるためだけのものではありません。適正体重を維持することは、関節や靭帯への負担を減らし、将来的な整形外科疾患の予防や進行抑制につながる可能性があります。
また、体重管理は「たくさん食べているから減らす」「運動を増やす」といった単純なものではなく、その子の年齢や体格、健康状態に合わせて進めていくことが大切です。まずは現在の体型を知り、その子に合った方法で無理なく取り組むことから始めてみましょう。
京都北山動物病院では、体重やBCSの評価はもちろん、関節の状態確認や食事・運動に関するご相談にも対応しております。「適正体重が分からない」「最近少し体重が増えてきた気がする」「関節への負担が心配」といったことがありましたら、お気軽にご相談ください。
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