スタッフブログ
2026.10.09
整形外科の手術を控えた飼い主様のなかには「手術のあと、どのくらい通うことになるのでしょうか」「リハビリはいつまで続くのでしょうか」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
整形外科の治療は、手術が終わった時点で完了するわけではありません。
リハビリテーション(リハビリ)を通して、回復を支えるところまでを含めて治療だと考えます。
今回は、整形外科のリハビリの流れと、通院の頻度や期間がどのように決まるのかを解説します。疾患について詳しく解説した記事も、参考にしてください。
■目次
1.整形外科のリハビリは何のために行うの?
2.リハビリ全体の流れ|3つの時期に分けて考える
3.通院の頻度と期間はどう決まる?
4.疾患・術式によるリハビリの進め方の違い
5.通院時に確認していること
6.自宅で続けることと通院はひとつづき
7.まとめ|通院の見通しを共有しながら進めます
整形外科の手術では、折れた骨を固定する、関節の安定性を取り戻すなどといった処置を行います。
手術直後は、まだ元どおりに動ける状態ではありません。
回復には「手術した骨や靭帯などが修復される過程」と「落ちた筋力や関節の動きを取り戻す過程」があります。組織の修復には時間が必要で、無理な負担は回復を妨げることがあります。一方、筋力や関節の動きは自然に十分戻るとは限りません。
そのためリハビリでは、手術した部位を守りながら、状態に応じて少しずつ運動を取り入れていきます。定期的に経過を確認し、その時期に合った進め方を判断します。
進め方は疾患や術式によって変わりますが、大きく3つの時期に分けて考えてみましょう。
手術直後からしばらくは、処置した部位が安定するまでの大切な時期です。手術内容や回復の状態に応じて運動量を制限し、必要な範囲で動きを管理しながら過ごします。
診察では痛みの管理や傷口の状態確認が中心になり、ご家庭では決められた範囲を超えて動かさないことと、日々の様子を見ていただくことをお願いします。
経過に問題がなければ、獣医師の判断のもとで短時間の歩行から再開していきます。
この段階では自由に動かすのではなく、例えば犬ではリードでコントロールしながら、時間と距離を区切って行うようなリハビリが基本です。
骨や関節の状態が安定してきたら、筋力や関節機能を回復する段階に入ります。
歩行の時間を延ばす、緩やかな傾斜を取り入れるなど、状態に応じて内容を調整します。関節をゆっくり動かす運動などを組み合わせることもあります。
この時期に気をつけたいのは、見た目には普段どおりに歩けていても、骨や靭帯などの組織の回復や筋力の戻りが追いついていない場合があることです。ご家庭で「もう大丈夫そう」と判断するのではなく、診察で確認しながら進めましょう。
「何回くらい通うのか」「何か月かかるのか」は、多くの飼い主様が気にされる点です。
通院頻度や期間は、疾患や術式、回復の経過によって異なるため、一律に決められるものではありません。
一般的に、状態が変わりやすい術後早期ほど間隔は短く、経過が安定してくるにつれて間隔が空いていくようになります。
加えて、次のような点も回復のスピードやその後の治療に影響します。
・受けた手術の内容(骨を切る処置を伴うのか、軟部組織への処置が中心か)
・年齢(若い個体ほど骨の修復が早い傾向があります)
・体格や体重(関節にかかる負担の大きさ)
・手術前に足をかばっていた期間の長さ
・反対側の足やほかの関節の状態
・自宅の環境と、安静を保ちやすいかどうか
獣医師が「◯か月で終わります」とお伝えしにくいのは、これらを実際の経過とあわせて見ながら判断しているためです。
当院では、診察時点でわかる範囲の治療期間やリハビリの進め方、費用の目安について丁寧な説明を心がけています。経過によって変わる可能性がある点も含め、ご不明なことがあればお気兼ねなくお尋ねください。
同じ「整形外科のリハビリ」でも、どこをどのように治したかによってリハビリのポイントが変わります。
膝の安定性を取り戻すための手術には、骨を切って関節にかかる力の向きを変える術式などがあります。骨に処置を加えた場合は癒合が進むまでの期間を確保する必要があります。
画像検査で骨の状態を確かめつつ、後ろ足の筋力回復も考えながら、少しずつ運動量やリハビリの負荷を調整していきます。
膝蓋骨が外れやすくなる原因はその子ごとに異なり、選ばれる術式も一通りではありません。
骨を移動させる処置を行った場合は骨の状態を確認しながら進めるのに対し、軟部組織への処置が中心の場合は経過の見方が変わります。
固定の方法によってリハビリの進め方が変わります。
骨がつながっていく様子を画像検査で確かめながら、歩行時間を延ばしたり運動量を増やしたりと、少しずつリハビリの内容を調整していきます。
手術を行うかどうかにかかわらず、関節と長く付き合っていく前提で考える疾患です。体重管理や運動量の調整を含めて、長い視点で状態を管理していくことが大切です。
犬の股関節形成不全についてはこちらで解説しています
犬の変形性関節症についてはこちらで解説しています
神経の回復は、骨や靭帯の修復とは別の時間の流れで進みます。足の感覚や動きがどこまで戻るかは経過を見ながらの判断となり、排泄の介助や姿勢の支え方など、ほかの整形外科疾患とは異なるケアが必要になることもあります。
犬の椎間板ヘルニア手術(減圧術)についてはこちらで解説しています
通院というと「傷を見てもらうだけ」という印象を持たれることもありますが、実際にはいくつかの視点から回復の段階を確かめています。
歩き方の確認では、手術した足にどのくらい体重がかけられているか、反対側の足へ負担が偏っていないかを見ます。ご家庭では気づきにくい左右差も、歩様を通してとらえられることがあります。
画像検査は、骨や関節の内部で何が起きているかを確かめる手段です。特に骨に処置を加えた場合、外から見て判断できない部分をここで確認します。
痛みの評価も重要な視点です。犬や猫は痛みを表に出しにくく、動きの減少や姿勢の変化として表れることがあります。痛みが残っていると足を使わなくなり、筋力の回復が進みにくくなります。関節の動く範囲や筋肉のつき方もあわせて確かめ、次の段階へ進んでよいかを判断していきます。
犬の歩様検査についてはこちらで解説しています
整形外科の画像検査についてはこちらで解説しています
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再診の予定が先でも、次のような変化が見られた場合には早めにご相談ください。
・使えるようになっていた足を、急に使わなくなった
・傷口の腫れや赤みが強くなった、出血や分泌物がある
・強く痛がる様子がある
・歩き方が以前より悪くなってきた
・食欲や元気が落ちている
早い段階で対応することで、経過への影響を小さくできる場合があります。
通院と通院のあいだの過ごし方は、次の診察で確認する内容そのものに影響します。
決められた範囲での歩行や「滑りにくい床にする」「段差を減らす」といった環境の調整もリハビリの一部です。
また、術後は活動量が減りやすく、体重が増えると関節への負担が大きくなります。回復期の食事の与え方についても、気になる点があれば診察時にご相談ください。
整形外科手術後の在宅ケアについてはこちらで解説しています
犬や猫の体重管理と関節への負担についてはこちらで解説しています
術後の回復には段階があり、通院頻度や期間は状態によって異なります。
手術を控えているときも、手術を終えたあとも、その後の生活や回復の見通しがわからず、不安に感じることがあるかと思います。
京都北山動物病院では、手術そのものだけでなく、その後どのように通い、どこまで動かしてよいのかという生活の見通しまで含めてご説明し、術後の回復を一緒に支えていきます。
わからないことや気になることがありましたら、どのようなことでもお気軽にお尋ねください。
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